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ジャイアント白田「大食いはボクシング。殴り合いなんです」ガチすぎるフードファイターが大食いを諦めた日「もう僕の時代じゃないなと」 

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荘司結有

荘司結有Yu Shoji

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photograph byShiro Miyake

posted2022/07/27 11:01

ジャイアント白田「大食いはボクシング。殴り合いなんです」ガチすぎるフードファイターが大食いを諦めた日「もう僕の時代じゃないなと」<Number Web> photograph by Shiro Miyake

現在は引退して、バラエティを中心に活動するジャイアント白田。現役時代の“ガチっぷり”がすごかった

現役引退へ「もう僕の時代じゃないなと」

 だが、白田ら第2世代の思いは道半ばで途絶えてしまう。2002年、中学生が給食のパンをのどに詰まらせて死亡する事故が発生。大食いの真似事が原因とされ、大食い番組が自粛されたのだ。

 ほとぼりが冷めた2005年ごろから番組や大会が復活したものの、ギャル曽根ら「第3世代」が台頭し、勝負よりキャラクター性にフォーカスしたバラエティ寄りの見せ方が主流に。第2世代のフードファイターたちはテレビを去っていき、白田も程なくして現役引退を決断する。

「バラエティ寄りに番組づくりがシフトしていくなかで、もう僕の時代じゃないなと思って。射手矢も大食いをやめたし、尊君も番組には出ないし、作りこんだ胃袋がヒリヒリするような、勝つか負けるかみたいな試合はもう望めないだろうと。

 胃のトレーニングって、ほんとに過酷で孤独なんですよ。でも、それに耐えられるのは、ライバルと戦えるっていうモチベーションがあるから。惰性で続けるのも性に合わないし、気持ちが離れていったんですよね」

白田が現在の“大食いユーチューバー”に思うこと

 一時期のようなブームは過ぎ去ったが、バラエティ番組などで大食い企画の系譜は受け継がれ、YouTubeでも大食いは人気カテゴリだ。だが、現在の大食い企画に共通するのは、かつての早さや量を競い合うものではなく、飲食店の巨大メニューや食べ尽くしに挑む「対メニュー」の構図ではないだろうか。

 フードファイターたちが生身でぶつかり合う「ボクシング」から遠ざかった、現在の大食いシーンを白田はどう見ているのだろうか。

「僕としては全くの別ジャンルとして見ていますね。特にYouTubeは、このタレントがいっぱい食べてるのを見たいというファンのためのコンテンツであって、僕がやってきた大食いとは全然違いますよね。あくまで大食いユーチューバーであって、大食い選手ではないのだろうと。

 大食い大会にアイドルの子たちを出すのにもすごく違和感があるんです。大食い大会って誰が一番強いのかを決めるのであって、食べられる人たちが出場するのが最低条件じゃないですか。はなから勝負できない子たちが出てくると、大食いファンとしては冷めてしまいますよね……。

 大食いのファンってそもそもマニアックだし、そんな人たちが何を見たいかと言ったら、かつての奇人変人の意地のぶつかり合いだと思うんです。バラエティと競技の線引きが分からないふわっとした感じで続けていったら、大食いは余計下火になってしまう。もっとストイックに記録を追い求めて、僕とか尊君が『しょぼいよね』ってなるくらいのとんでもないスターが現れたら、絶対にまたブームは来ると思うんです」

《つづく》

#3に続く
身長195センチ、体重95キロ…“史上最強のフードファイター”ジャイアント白田43歳が「大食いは才能8割、努力2割」と語る納得の理由

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