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「智辯和歌山と比較されるんだろうな…」32歳若手監督に勇気を与えたイチローの言葉とは?〈國學院久我山センバツ躍進の秘話〉
posted2022/07/15 17:00
text by
日比野恭三Kyozo Hibino
photograph by
Hideki Sugiyama
今年のセンバツ甲子園で、國學院久我山は準決勝まで進出した。1979年、1985年、2011年と過去3度の出場歴があるが、いずれも初戦敗退。2013年に就任した尾崎直輝監督のもと、大きな飛躍を果たす春となった。
昨年11月末、同校にはイチローの姿があった。2日間限りの指導だったが、甲子園での躍動はその賜物と言えるのか。大阪桐蔭に敗れて決勝進出を逃した数日後、久我山のグラウンドを訪れた。
尾崎監督は苦笑する。
「甲子園では、報道陣の方たちからそのことばかり質問されました」
ただ、うんざりした表情ではない。間違いなく因果関係があると感じられるからだ。
プレッシャーがあるなかで、なぜ結果を出せる?
東京都杉並区にある國學院久我山へとイチローがやってきたのは11月29日のこと。尾崎監督はその傍らに付き添いながら、一挙手一投足を見逃すまいと観察し、選手ともども質問をぶつけた。
シューズを履く際に靴べらを使う姿から用具を大切に扱う姿勢を学び、「(足の)薬指から地面に着くようにしている」という走り方のこだわりを教わって感嘆した。トレーニングの話題になったときには、促されて筋肉に触れた。「できたての大福みたいにぷにぷに。なのに見た目は締まってるんです」と、表情豊かに振り返る。
メジャーで10年連続200安打を成し遂げた打者を迎えるにあたり、ぜひ聞いておきたいことがあった。
「期待やプレッシャーがあるなかで、どうやって結果を出し続けられたんですか」
そう尋ねたのは、翌春のセンバツ出場を確実にしていたから。尾崎監督は言う。
「(イチローの指導を受けたのち21年夏の甲子園で優勝した)智辯和歌山さんと比較されるんだろうな、と。勝たないといけないわけじゃないけど、期待はされるじゃないですか」
イチローの答えはこうだ。