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「智辯和歌山と比較されるんだろうな…」32歳若手監督に勇気を与えたイチローの言葉とは?〈國學院久我山センバツ躍進の秘話〉

posted2022/07/15 17:00

 
「智辯和歌山と比較されるんだろうな…」32歳若手監督に勇気を与えたイチローの言葉とは?〈國學院久我山センバツ躍進の秘話〉<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

センバツ甲子園準々決勝、4-2で星稜に勝利し笑顔でグラウンドを駆ける國學院久我山ナイン

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日比野恭三

日比野恭三Kyozo Hibino

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Hideki Sugiyama

センバツ初勝利、そしてベスト4進出。國學院久我山は今春、その強さを夢の舞台で証明した。指導者イチローの言葉は彼らに何をもたらしたのか。戦いを終えたチームを訪ねた。Sports Graphic Number1049号(2022年4月14日発売)『イチロー指導校探訪 國學院久我山「“いいね”が背中を押してくれた」』を特別に無料公開します。全2回の1回目(#2/千葉明徳編へ)※年齢、肩書きなどはすべて掲載時

 今年のセンバツ甲子園で、國學院久我山は準決勝まで進出した。1979年、1985年、2011年と過去3度の出場歴があるが、いずれも初戦敗退。2013年に就任した尾崎直輝監督のもと、大きな飛躍を果たす春となった。

 昨年11月末、同校にはイチローの姿があった。2日間限りの指導だったが、甲子園での躍動はその賜物と言えるのか。大阪桐蔭に敗れて決勝進出を逃した数日後、久我山のグラウンドを訪れた。

 尾崎監督は苦笑する。

「甲子園では、報道陣の方たちからそのことばかり質問されました」

 ただ、うんざりした表情ではない。間違いなく因果関係があると感じられるからだ。

プレッシャーがあるなかで、なぜ結果を出せる?

 東京都杉並区にある國學院久我山へとイチローがやってきたのは11月29日のこと。尾崎監督はその傍らに付き添いながら、一挙手一投足を見逃すまいと観察し、選手ともども質問をぶつけた。

 シューズを履く際に靴べらを使う姿から用具を大切に扱う姿勢を学び、「(足の)薬指から地面に着くようにしている」という走り方のこだわりを教わって感嘆した。トレーニングの話題になったときには、促されて筋肉に触れた。「できたての大福みたいにぷにぷに。なのに見た目は締まってるんです」と、表情豊かに振り返る。

 メジャーで10年連続200安打を成し遂げた打者を迎えるにあたり、ぜひ聞いておきたいことがあった。

「期待やプレッシャーがあるなかで、どうやって結果を出し続けられたんですか」

 そう尋ねたのは、翌春のセンバツ出場を確実にしていたから。尾崎監督は言う。

「(イチローの指導を受けたのち21年夏の甲子園で優勝した)智辯和歌山さんと比較されるんだろうな、と。勝たないといけないわけじゃないけど、期待はされるじゃないですか」

 イチローの答えはこうだ。

【次ページ】 「怖いよ」尾崎の心を軽くした言葉

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