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「もう全部終わった」失意の東京五輪落選を救った妻の言葉…“日本のミドル、なめんなよ” ブラン監督も絶賛する202cm高橋健太郎のブロック
posted2022/07/13 06:00
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph by
YUTAKA/AFLO SPORT
これだよ、これ。
コロナ禍で、未だ声を出した応援はできない。だが、それも忘れて思わず声が漏れる。いや、むしろ少々大きめのボリュームで。
7月9日、大阪。超満員の丸善インテックアリーナで行われた、男子バレーのネーションズリーグ。その瞬間は、日本対ドイツの第3セット。13-8で日本が5点をリードした場面だった。
この日、すでにファイナルラウンド進出を決めていた日本は石川祐希や西田有志を温存。完全にこの日の主役は、ミドルブロッカー高橋健太郎(27歳)だった。
左手一本で止めた会心のブロック
直前の攻防で、ドイツ代表のアウトサイドヒッター、マクス・シュルツがレフトから放ったスパイクをブロックで仕留めていた高橋は、言葉はわからずともネットを挟んだ眼前でミドルブロッカーのフロリアン・クラゲがセッターと短いながらも言葉を交わしていることに気がついた。
「絶対打ってくると思ったし、セッターもバーンと打たせて決めさせたいんだろうな、と思ったんです。もともと(打つ前の)アプローチがデカい選手だったし、(攻撃への)入り方が完全に打ってくる感じだったので、これ、絶対止めたろ、と思って。狙い通りでした」
はやる気持ちを抑え、スパイク動作に入る選手にセッターがトスを上げたのを見て、跳ぶ。相手は正面ではなく、やや身体の向きがクロス寄りに向いていた。ここだ、と思う場所に伸ばした高橋の左手一本が、完璧なタイミングで打球をとらえた。
「久々に、僕のブロックが出たな、と。今までは止まっていても自分の感覚として全然しっくりこなかったんですけど、今日はしっかりハマっていたので、意図を持ったブロックができました」