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『考える脚 北極冒険家が考える、リスクとカネと歩くこと』冒険に希望的観測は不要。これはボクシングにも通ずる。 

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村田諒太

村田諒太Ryota Murata

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posted2022/07/10 07:00

『考える脚 北極冒険家が考える、リスクとカネと歩くこと』冒険に希望的観測は不要。これはボクシングにも通ずる。<Number Web> photograph by Sports Graphic Number

『考える脚 北極冒険家が考える、リスクとカネと歩くこと』荻田泰永著 KADOKAWA 1650円

 また会って話を聞いてみたいなと猛烈に思う人がいます。日本人初となる南極点無補給単独徒歩踏破などに成功した、冒険家の荻田泰永さんです。今年、ある番組で対談させていただいて、初対面でしたけど共感できることがたくさんありました。どんな困難があっても言い訳にせず、オリジナルの表現を出してくる方。一つひとつの話が凄く新鮮でした。

 毎年のように一人で北極圏を訪れて、だいぶ慣れてきたころ、テントに火がついた燃料をこぼしてボヤを起こしたことがあったそうです。両手は火傷を負い、テントも一部焼けてしまって、これでは風、雪、寒さをしのげない。無人の氷雪地帯だから周りには誰もいない。結局、無線機で救助を要請して命拾いしたとのことですが、慣れてきた自分の油断、慢心が生んだミスだと荻田さんは言います。不運として片づけるのではなく、ボヤは起こるべくして起こったんだと己の戒めとしていました。

こちらは雑誌『Number』の掲載記事です。
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