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小野伸二を練習中に怒鳴りつけた“日韓W杯キャプテン”森岡隆三の後悔「もう帰ろう、ここにはいられない」「俺は何をやっているんだ」

posted2022/07/07 17:02

 
小野伸二を練習中に怒鳴りつけた“日韓W杯キャプテン”森岡隆三の後悔「もう帰ろう、ここにはいられない」「俺は何をやっているんだ」<Number Web> photograph by Reuters/AFLO

2001年のFIFAコンフェデレーションズカップ。ニコラ・アネルカ(フランス)のドリブル突破を阻止する森岡隆三と小野伸二

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森岡隆三

森岡隆三Ryuzo Morioka

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Reuters/AFLO

20年前、日本中に熱狂をもたらしたFIFAワールドカップ日韓大会。“フラット3”の中軸を担い、サッカー日本代表のキャプテンを託された男は、左足の負傷によって初戦のベルギーとの試合が唯一の出場機会となった――。6月に上梓された森岡隆三氏の著書『すべての瞬間を生きる PLAY EVERY MOMENT』(徳間書店)より、ワールドカップの舞台裏と選手たちの絆に迫る。(全3回の2回目/#1#3へ)

 ベンチ外となったロシア戦、私はスタンドの上から試合を観ていた。

 負傷者であり、戦えない男、戦う意志のない者は必要ないと、ベンチに置いておきたくなかったのかもしれない。チームの士気が下がることを考えれば、当然だった。

 地元、横浜でのワールドカップ・ゲームだった。

 複雑な想いが頭を支配したが、日本のパフォーマンスに集中し、勝利への願いを必死に送った。

 スリッピーなピッチでの試合、互いに集中力の高い好ゲームの均衡を破ったのは、初戦のベルギー戦に引きつづき、絶好調のイナの、値千金のゴールだった。

 そして、日本代表は最後まで集中を保ち、ワールドカップ初勝利を手にした。

 初勝利を手繰り寄せる素晴らしいゴールを決めたイナは、もちろん素晴らしかった。

 しかし、私から観たマン・オブ・ザ・マッチは、まぎれもなく宮本恒靖だった。

「ロシア戦のツネは、私の理想を体現していた」

 サッカーを生業にしている人間にとって、ポジションの奪い合いや競争はある種の日常だ。競争があること、お互いに良い刺激を与える関係は成長にもつながる。

 私にとってツネは、同じポジションでありながら、良い刺激を与えてくれる仲間であり、友人だった。敵対し、よこしまなライバル心をたぎらせたわけでもなかった。

 どちらが優れ、どちらが劣っているというのは周りが考えることであり、私がツネに対して劣っていると思わないのと同様に、ツネも私に負けているという感覚はなかったはずだ。

 しかし、2002年に入り、4カ月間、代表でディフェンスラインの中央を統率してきたにもかかわらず、怪我から復帰したばかりの人間に、すぐさまその座を奪われるのは、納得がいかない気持ちもあっただろう。

 ツネはいつも冷静で感情を表に出すことは少ない。

 けれど、きっとその内にはさまざまな想いがあったに違いなかった。

【次ページ】 宮本恒靖のプレーは「本当に美しかった」

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