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サッカー日本代表「敗退の真相」ブラジル戦“運命の3分間” 森保一監督がDF陣に与えた指示とは…ブラジルは決して日本を見下してはいなかった
posted2026/07/15 17:24
後半のアディショナルタイム、途中出場のマルチネッリが決勝点
text by

松本宣昭Yoshiaki Matsumoto
photograph by
Shinya Tanaka
サポートメンバー吉田麻也が語った一言
憧れるのをやめましょう――。
3年前、野球の日本代表はこの言葉を胸に、ベースボール発祥の国を倒して“最高の景色”に辿り着いた。
競技は違えど、番狂わせを起こすために必要な心構えは共通だ。ラウンド32の相手は、世界最多5度のW杯優勝を誇るブラジルである。憧れたままキックオフを迎えれば、あっという間に飲み込まれてしまう。チャレンジャー精神は保ちながら、いかに本気で「勝てる」と信じられるか。
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決戦前日、公式練習を終えた吉田麻也に、後輩たちのメンタル状態を訊いた。過去3度ずつW杯と五輪を経験し、今回はサポートメンバーとしてチームを支える元キャプテンは、声を弾ませた。
「すごいよ、今の選手たちは。あのブラジルが相手なのに、全然びびっていない。自分たちがこれまで積み上げてきたものに、相当自信がある証拠でしょうね」
最後に一言、付け加えた。
「令和の時代だね」
佐野海舟が、虎視眈々と狙っていた
吉田の見立てどおり、令和の日本代表はブラジルを前にしても、グループステージと同じスタイルを貫き、真っ向勝負を挑んだ。コンパクトな陣形を保ち、守備時は5-4-1で堅いブロックを組む。好機と見れば前田大然が、伊東純也が、中村敬斗が、果敢に仕掛けた。
その狙いを、森保一監督はこう明かした。
「ある程度相手にボールを持たれる、押し込まれる展開は、試合全体として起こり得ると予想していましたし、実際に起こっていたと思います。その中で、粘り強くしっかり守りながら、攻撃のチャンスを作る。我々のチームコンセプトでもある“良い守備から、良い攻撃”を、選手たちは割り切って実践してくれていた」
2018年の就任以来、指揮官が8年にわたって口酸っぱく言い続けた「良い守備から、良い攻撃」。これが最高の形で実を結んだのが29分のことだった。
佐野海舟が、虎視眈々と狙っていた。ダニーロからギマランイスへ横パスが出された瞬間、“ハンター”はいち早く敵の意図を察知し、ボールの捕獲に成功した。そのまま「良い攻撃」に移行し、自らゴール前へドリブルで運ぶ。
ちらりと横目で、左前方を確認した。
「ゴールシーンは、自分の理想の形。パスを出すつもりだったんですけど、(上田)綺世くんが良い感じで動いて、相手を引きつけてくれた。ブラジルにとっては誰がボールに寄せるんだって迷う状況になったと思うので、シュートを打ちました」
倒れ込みながら、右足のインステップで放った鋭いシュートは、名手アリソンが伸ばした右手の横をすり抜け、ゴール左隅へと吸い込まれた。

