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線審を「告げ口女」扱い、会見で寿司モグモグ… 大坂なおみ設立会社の顧客1号キリオスの“極悪言動”と日本人関係者が明かす“意外な素顔”
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph byGetty Images
posted2022/07/04 17:13
世界ランク5位のチチパスを3-1で下し、4回戦へ駒を進めたキリオス
「彼は多分学校でもいじめっ子だったんだろう。僕はいじめっ子が嫌いだし、人を見下すヤツが嫌いだ。彼にはいいところもあるけど、悪魔の一面がある。それが表に出てくると、周りの人たちを傷つけたり嫌な気分にさせる」
日本の担当者は「まさかこんなキャラになるとは」
確かにいいところもある。たとえばオーストラリアの森林火災の際にはいち早く支援の活動を始め、寄付もした。仲が悪いはずのノバク・ジョコビッチが今年のオーストラリアから強制退去させられるときには、「ノバクはいつだって僕たちのためにいろいろやってくれたじゃないか」と庇った。誰もが認める才能だけに、いい人の部分をもう少し前面に出して、“ちょいワル”程度の大人になってくれることを、皆テニス界のために期待していたのだが、なかなかそうはなってくれない。
ところで、キリオスは元ジュニア・ナンバーワンだが、ジュニア界で名が知られるずっと前からラケットを提供しているのは日本のヨネックスだ。ラケットメーカーが一番嫌う行為は、試合中のラケットへの八つ当たりである。丹精込めて開発し、提供しているラケットをバキバキ折られるのは見るに耐えないだろう。ドイツ在住でキリオスを12歳の頃から知るヨネックスのスカウト担当、濱浦貴光さんは、「おとなしくてやさしい少年だったので、まさかこんなキャラになるとは思わなかったんです。ある意味、僕たちも勉強になります(笑)」と語り、「あまりにもひどいときは注意します。すると反省はしますね。『ごめん。またやっちゃった』という感じで向こうから先に謝ることもありますし」と、あまり知られていない素顔も明かした。
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これが、大坂のマネジメント会社の顧客一号の破天荒なキャラクターだ。大坂は「いっしょに仕事をしたいタイプを体現している選手」と語ったそうだが、キリオスももとはIMGで大坂と同じ代理人スチュアート・ドゥグッド氏が担当していたから、移籍はさほど突飛でもない。大坂にもシンパシーを感じている。マレーシア人の母を持つキリオスは、大坂同様に人種差別と戦う意志が強いし、テニス界の古い体質を変えたいと会見ボイコットなど行動を起こした大坂を、メディア嫌いのキリオスが支持しないわけはない。今はわからないが、かつては確かに日本贔屓でもあった。2016年に楽天オープンを制したときは、母親といっしょに「ゆりかもめ」に乗って探索を楽しみ、寿司だけでなくうどんも好きで、お姉さんは大阪のUSJでダンサーをやっていたという縁もある。