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[対戦相手は語る・ベルギー]ヴィルモッツ「“いただき”と心の中で叫んだ」
posted2022/06/30 07:02
text by
カーン・バヤズツKaan Bayazıt
photograph by
Shinji Akagi
キャリアで受けた手術の数は、実に12回――。日韓W杯でベルギー代表の主将を務め、計3得点を挙げたマルク・ヴィルモッツは、「本当はあのW杯には出ないつもりだった」と言う。
「日本との初戦の約3カ月ほど前に、半月板に3度目のメスを入れたんだ」と53歳になった彼は快活に振り返る。
「当然、私が本大会に間に合うとは誰も思っていなかった。すでに3度W杯を経験していたし、若手にポジションを譲りたいと考えてもいたが、監督からベンチにいるだけでいいから来てくれ、と言われたんだ」
力強い足腰と分厚い胸板、高い得点力を兼ね備え、“雄牛”の愛称で知られた攻撃的MFは、当時の代表監督から絶大な信頼を寄せられていた。そして復帰に向けて医師と綿密なスケジュールを立て、段階的に強化試合をこなしていき、来日した時には準備が整っていた。ただし全4試合にフル出場できたのは、「日本のおかげ」とも。
「(合宿地の熊本には)素晴らしいホテルが用意され、練習施設も完璧で、人々は本当に親切だった。彼らは我々に敬意を払い、試合に出発するときは多くの市民が健闘を祈ってくれ、戻ってくる時は盛大に迎えてくれた。日本と引き分けた後でさえ、そうしてくれたんだよ! 欧州では起こり得ないことだ。私たちにとって、それはポジティブなカルチャーショックだった。また、オフには泥温泉でリカバリーをした。これで回復を早められたことは大きかったね」
'02年6月4日、初戦で対峙した日本代表には、次のような印象を持っていた。