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中日・与田剛前監督が振り返る根尾昂“外野をトライさせた理由”「遠回りにはならないと」「投手挑戦にあたって資質の前に大事なのは…」 

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posted2022/07/04 11:02

中日・与田剛前監督が振り返る根尾昂“外野をトライさせた理由”「遠回りにはならないと」「投手挑戦にあたって資質の前に大事なのは…」<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

昨年まで中日ドラゴンズを率いた与田剛氏。インタビュー後編では、監督就任中に試みた根尾昂の外野手起用、そして今季の「投手転向」について語った

話題の投手転向…いま振り返る根尾昂の育成

――今、根尾選手が投手登録に変更になり話題になっています。与田さんも監督時代、根尾選手にピッチャーをやらせたいと思ったことはあるのですか。

与田 私の時はまだその段階ではありませんでした。それは私と球団、そして本人の意思もありました。まだ(契約最終年で)3年目でしたから、野手を第一優先に可能性を探っていました。

――根尾選手のように注目度が高いと、自分の裁量だけでどうこうできない場面も出てくるのではないですか。いやが上にも周囲は期待するでしょうし。

与田 根尾とは、色々な話をしました。入団当初は、まずはショートで勝負したいというのがあったんです。ただ、一軍のショートとしては、まだまだ足りないものがありました。例を挙げるとスローイングや打球に対する動き。コーチの指導で徐々に改善されてきてはいたのですが、一軍の試合で起用するためにも、そして彼の野球人生にとってもプラスになると思って、外野をトライさせたんです。「一軍で活躍させる」という目標から見て、その方法は遠回りにはならないと思いました。

 彼の外野守備はリーグでもトップクラスだったと思います。打球に追いつく能力も高いし、相手セカンドランナーもなかなかワンヒットでホームまで還ってこられなかった。あの守備力はピッチャーの防御率にかなり、貢献したと思います。ただ、打撃に関しては、去年は188打席立たせて、打率は「.178」。これでは、いくら外野の守備がよくても、なかなかレギュラーとしては難しい状況です。将来は三拍子揃った選手になって欲しかったので、走る力も高めてもらいたかったのですが、まだ満足するような結果ではなかったと思います。結局、3年間で盗塁は0でした。

――根尾選手が目指す打者像と違った、ということでしょうか。

与田 彼の中には「3割30本」くらいの理想があったんだと思います。しかし、今は「3割30本」を目指す状況ではないよ、ということは伝えました。若手の成長でいえば、高松(渡)は、去年123打席で打率「.250」。根尾と足の速さは違うとはいえ、盗塁も15個記録しました。一軍を争うライバルも結果を残しはじめてきたんです。

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