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オリックスに来てから“笑顔”が増えた? 43歳能見篤史が明かす古巣・阪神への感謝と“特殊”な重圧「もう1人違う自分をつくっていた」
posted2022/06/20 06:00
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
Sankei Shimbun
3万1855人が京セラドーム大阪のスタンドを埋め尽くした6月12日のオリックス対阪神戦。8回表、球場全体から注がれる大きな拍手の中、プロ18年目の43歳、能見篤史が今季初めてマウンドに上がった。
「ちょっと鳥肌立ちましたね。拍手の多さに。監督の粋なはからいもあったので」
6月9日のヤクルト戦に「12球団勝利」をかけて先発登板した増井浩俊に代わり、交流戦最後のカード・阪神戦が始まる6月10日、阪神から移籍2年目の能見が一軍登録された。
1、2戦目は登板機会がなかったが、3戦目、0-6と大差をつけられた8回、能見の名がコールされると、球場中が沸いた。
阪神の6番・小野寺暖をサードゴロ、7番・中野拓夢をピッチャーゴロに仕留めて4球で2アウト。8番・ロハスには四球を与えたが、9番・長坂拳弥をセンターフライに打ち取ると、再び球場が大きな拍手に包まれた。
「いい緊張感でした。点差が点差でしたけど、しっかり自分の役割を果たそうかなと思っていたので。(阪神は)知っている人間ばっかりなので、『あの人、元気やなー』っていうのを見せられたら、それだけで十分です」と笑った。
ほぼ満員の球場「本当にありがたい話ですね」
今回の阪神戦、土日はほぼ満員の状態で、オリックスのホームゲームとしては、コロナ禍以降最多の観客数を記録した。
満員のスタンドは、阪神時代の能見にとっては日常だった。
「本当にありがたい話ですね。(球場が)盛り上がるというのは、選手に絶対にプラスになる。力になります。僕は(阪神に)16年いたので、感謝の気持ちが大きいですし、育ててもらったという思いもあります」と古巣への感謝は尽きない。
一方で、阪神時代は人気球団ゆえの苦悩もあった。能見はオリックスに移籍してから、「笑顔が増えた」「表情が豊かになった」と言われる。