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高額賞金、選手の低年齢化が生んだ“テニス界のとんでもない毒父たち”…娘の虐待告白にも「グラフのような選手になってほしいから」 

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山口奈緒美

山口奈緒美Naomi Yamaguchi

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photograph byGetty Images

posted2022/06/19 11:02

高額賞金、選手の低年齢化が生んだ“テニス界のとんでもない毒父たち”…娘の虐待告白にも「グラフのような選手になってほしいから」<Number Web> photograph by Getty Images

ヒンギスに匹敵する天才少女と謳われたミリヤナ・ルチッチは、ジュニア時代からおよそ10年にわたって父による虐待を受け続けた

 8年間も断絶していた父娘だが、2011年に和解した。今では何か発言の機会があるたびにダミルは過去の言動への悔いの言葉を口にしている。

その2)空港に牛乳を買いに行かなかった練習相手に大暴れ

 オーストラリアといえばバーナード・トミッチの父も悪名高い。

 18歳のときにウィンブルドンでベスト8入りするなど10代から才能を開花させたバーナードだが、試合態度や素行の悪さのほうが目立ちはじめ、テニス界指折りの不良青年に成長。期待の成績を残せないまま今年30歳になる。諸悪の根源と見られていたのが父親のジョンだ。

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 息子にも日常的に暴力を振るっていたという彼は、2013年、とうとう逮捕されるに至った。息子のヒッティングパートナーに殴る蹴るの暴行を加え、脊椎のヒビに加え、鼻の骨折、顔を複数針縫う大けがを負わせたためだ。発端は、空港で牛乳を買って来いと命じられたこの被害者が「時間がない」と断ったことだというから閉口する。

その3)10年にわたる父からの虐待を告白した天才少女

 こういう親を持つ子供たちが早い年代で活躍していることは共通点としてあげられる。旧共産圏出身者が目立つことも、子供の成功への執着と無関係ではないかもしれない。クロアチアのミリヤナ・ルチッチもそうだった。

 15歳になる前に2つのグランドスラム・ジュニアのタイトルを獲得したミリヤナは、ヒンギスやジェニファー・カプリアティに匹敵する天才少女と謳われ、15歳でグランドスラム・デビュー。1998年の全豪オープンでダブルスを制覇すると、翌年のウィンブルドンでシングルスのベスト4入りを果たした。

 そんなミリヤナが、父・マリンコの暴力から逃れるために母と姉、3人の弟や妹とともにクロアチアの家を出てフロリダへ渡ったのは、全豪のダブルス優勝の約半年後。10年間にわたって身体的、精神的に虐待されていたことをクロアチアの新聞に暴露した。

「多分皆さんが想像する以上に、私は父から殴られてきた」

 十種競技の元選手で旧ユーゴスラビア代表としてオリンピックにも出場したマリンコは、こう弁明したものだ。

「いきすぎた暴力をふるったことは一度もない。平手打ちくらいやったとしても、それは娘の行いが悪いせいだ。娘には、ピート・サンプラスやシュテフィ・グラフやモニカ・セレスのように皆の手本となるような選手になってほしい。私はそのために最善を尽くしている」

【次ページ】 その4)有名な恫喝父が隠していた“しごき練習の実態”

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