那須川には、武尊の“警戒すべき点”を伝えた

　普通にやったら那須川が勝つ。しかし普通にやらせてくれないのが武尊。相性的に有利なのは那須川、だが那須川に勝てるとしたら武尊しかいない。そういう闘いだ。

「結局どっちやねんって言われそうですけど（笑）、そういうことなんです。武尊くんは“やるかやられるか”の闘いをするでしょうね。ギャンブルかもしれないけど、それで勝ってきてるんで」

　すなわち、武尊は“ギャンブルの達人”か。京谷は言う。「自分のスタイルを極めた選手であることは間違いないです」。

　現役選手として、自分も『THE MATCH』に出てみたかったと京谷。キック界に強豪がひしめき、活況を呈していることに「僕もあと10歳若ければ、と思ったりしますよ」とも。ただ、今は若手の壁といった役割も含め、主戦場であるRISEをどれだけ盛り上げられるかを考えているそうだ。『THE MATCH』でも重要な仕事がある。鈴木真彦のセコンドだ。鈴木は大会の第1試合で、K-1王者の金子晃大と対戦する。鈴木はRISE王者。「ここは勝ってもらいますよ。チャンピオンらしく勝ってほしい」と言う京谷は“RISE側”であり、『THE MATCH』に向けたRISE勢の合宿にもサポートメンバーとして参加、那須川ともスパーリングをしたという。

「そのあと（那須川のジム）TEPPEN GYMでも練習して、自分が武尊戦の前に練習したこととか、警戒すべき点を伝えました。やっぱりRISEのトップですからね、K-1のトップに負けてほしくない」

「そろそろ、天心くんに呪いを解いてほしい（笑）」

　京谷は常に“武尊に勝った男”と呼ばれてきた。負けた武尊がスターになる一方で自分は思うような結果が出せず「武尊くんを恨んだこともあります」と言う。

「昔の試合じゃないですか。そればっかり言われるのは嫌だし、勝手にハードルを上げられてしまうんですよ。“武尊に勝った男”というのは呪いでした。今思うと、それも武器なんですけどね。肩書きがあることで人が見てくれるんで。でもそろそろ、天心くんに呪いを解いてほしいですね（笑）」

　試合以来、武尊とは会う機会がなかった。東京ドームで顔を合わせたら、お互いどんな気持ちになるのだろうと思う。ただその前に、那須川と武尊に万全の状態でリングに上がってほしいという気持ちが強い。

「あの2人がリングで向き合ったら……って想像するだけで鳥肌が立ちました、今。そんな試合、これまでなかったですよ。どちらもケガなく当日を迎えてほしい。一番言いたいのはそこかな。結局、どっちも応援してるんですよ、僕」

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