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円安と有力プロモーターを味方に、京口紘人が挑む「最高の舞台」。
posted2022/06/10 07:00
text by
前田衷Makoto Maeda
photograph by
AFLO
世界タイトル獲得は多くのボクサーにとってはゴールのはずだが、近年は「これでやっとスタートラインに立てた……」と受け止めるチャンピオンが少なくない。
これもチャンピオンが激増してその希少価値が落ち、肩書に相応しい報酬と名声を得にくくなったからである。世界のベルトを手にすれば引退時にはひと財産残せたのも、はるか昔の話。日本の現役世界王者は村田諒太が負けて7人になったが、あえて言えば、村田と井上尚弥、井岡一翔と今のボクシングを代表する3人以外はみな現状に欲求不満を抱いているのではあるまいか。
それは6月10日(日本時間11日)メキシコ・グアダラハラで自ら保持するWBA世界ライトフライ級のスーパー王座を懸けて正規王者エステバン・ベルムデスと統一戦を行う京口紘人とて例外ではない。プロ転向後15戦全勝10KO。2017年にミニマム級で初めて世界王座につき、以来7度の世界戦をこなし、2階級制覇達成と、実績も申し分ない。積極果敢な試合スタイルも観客を退屈させるものではなく、もっと名声を上げてもおかしくない選手である。