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“天才”が泣いていた…無骨なチームマンに徹したSO山沢拓也(27)リーグワン初代王者を手繰り寄せた2つのビッグプレー
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![多羅正崇](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/6/3/-/img_63c0172edf1a3eec5d5017836b5eb9301895.jpg)
多羅正崇Masataka Tara
photograph byAFP/AFLO
posted2022/05/30 17:00
![“天才”が泣いていた…無骨なチームマンに徹したSO山沢拓也(27)リーグワン初代王者を手繰り寄せた2つのビッグプレー<Number Web> photograph by AFP/AFLO](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/1/9/700/img_19f3e4d17dfbca531bad874efd147933299044.jpg)
ダミアン・マッケンジー(東京サンゴリアス)のノックオンを誘発する山沢拓也(埼玉ワイルドナイツ)のタックル。献身的なプレーが光った
山沢拓也にしか出来ないプレーが存在する。
たとえば準決勝の後半11分だ。高精度のキックスキル、天与のスピードを持つ山沢が真骨頂を見せた。
キック処理に入った山沢は、ボールに追いつくや、猛然と迫るディフェンダーの頭上をフワリと越えるショートパント。一瞬の加速から相手背後に抜けだし、難なく再獲得。見事なカウンターに繋げた。
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準決勝という舞台でそれをやるのか——。想像を超えたプレーに周囲は驚くのだが、本人にとってはプレーの選択肢のひとつに過ぎないのだろう。ただその選択肢は、普通ではないのだ。
想像していなかったことを涼しい顔でやってのけるから、天才と呼ばれる。
決勝での山沢は「無骨なチームマン」だった
埼玉・深谷高校1年時から本格的にラグビーを始め、3年時には日本代表候補合宿に呼ばれた逸材中の逸材だった。当時の指揮官だったエディー・ジョーンズ元日本代表HC(ヘッドコーチ)は山沢の才能に惚れ込んでいたが、左膝前十字靱帯を断裂するなどケガに泣いた。
しかし筑波大学4年時から“飛び級”で参加したワイルドナイツで、着実にキャリアを積み上げ、そして辿り着いたリーグワン最初のファイナル。
最高の頂上決戦では、しかし天才としての姿は影を潜めた。そこにいたのは無骨なチームマンだった。
山沢はチームの強みを「規律をしっかり守る。崩れないディフェンス」と語る。堅守ワイルドナイツの一員として、山沢は2つのビッグプレーで試合を変えた。