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2m超の新星vs松岡修造の甥っ子、福岡&松島の後継者バトル…ラグビーリーグワン初代王者を決めるプレーオフで注目の代表候補対決 

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大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2022/05/16 11:00

2m超の新星vs松岡修造の甥っ子、福岡&松島の後継者バトル…ラグビーリーグワン初代王者を決めるプレーオフで注目の代表候補対決<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

東芝ブレイブルーパスのプレーオフ進出に貢献したLOワーナー・ディアンズ

 そのワーナー、国内では高3の花園以後、なかなかプレーする姿を見る機会がなく、話題先行状態だったが、リーグワン開幕と同時にそんな心配は霧消した。シニアデビュー戦となったリーグワン開幕戦(1月8日)で、サンゴリアスを相手にワーナーは力強い突破力を披露。開始8分、相手タックル2人を突き抜けてチームのリーグワン初トライをあげてしまうのだ。この日はさらに後半にもトライを奪っている。

 武器は202cmの身長だけではない。手足が長く、懐が深く、上体を前傾させればもう相手のタックルは届かないから、相手に囲まれても前に出られる。無論、長身を生かしたラインアウトも武器だ。

 蹉跌もあった。2戦目でハイタックルのイエローカードを受け、3試合出場停止の処分を受けるが、これもまたレッスンだった。ワールドラグビーの矯正プログラムを受け、アタックだけでなくディフェンスでも低くヒットする姿勢を習得し、出場停止1試合を減免。そして先発に復帰した第5節ブルーレヴズ戦では1トライをあげただけでなく、ブレイクダウンでも大活躍し、プレーヤーオブザマッチを獲得。

「高校のときよりも周りの選手が大きくなって、無意識のうちに姿勢が高くなっていたのを矯正しました。自分は脚が長いので、上体を倒すだけじゃなく膝を曲げて姿勢を低くすることを意識しています」

 リーグ戦では15試合中13試合に先発し、80分フル出場が6試合。1年ほど前までは高校生だった少年が、世界トップ選手の集まるリーグワンで、当たり前のようにフルシーズンをケガもなく戦い抜いたのだ。

松岡修造を叔父に持つ“熱き男”

 対するサンゴリアスのロックには、辻雄康(たかやす/26歳)がいる。慶應高から慶大を経て19年サンゴリアスに加入。190cm、113kgのサイズは超大型化した現在の世界ラグビーではやや物足りなく感じるが、ひとたびグラウンドに出れば身長差など関係なしにハードヒット、ハードタックルを反復する。今季は先発8、途中出場5。どんな使われ方をしても、点差がどんな状況であっても、ひたすら激しく相手に体をぶつけていく。

 器用さは身長も上回るワーナーが上に見えるが、不器用でも強く泥臭いプレーをひたすら反復する選手もラグビーでは必要。過去の日本代表なら大野均を筆頭に大久保直弥、眞壁伸弥……その系譜に連なる男だろう。叔父は誰もが知る熱き男・松岡修造さん。どこまでもポジティブに突き進むプレースタイルは通じるところがある気がする。

 もちろん、このお題は“二者択一”ではない。ともに大活躍を見せて、2人が日本代表でロックのペアを組む……なんて場面も見てみたい気がする。

【次ページ】 福岡&松島に続くランナー候補

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