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「代表にオールスター選手はわずか3人」男子バスケの外国人“鬼コーチ”トム・ホーバスは何を変革している? 新体制を象徴する“ある選手”
posted2022/05/13 11:00
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
JIJI PRESS
今季のBリーグのクライマックスを前に、日本男子バスケ界の変化がはっきり感じられる。
東京オリンピックで女子のバスケ代表を率いて銀メダルを獲得したトム・ホーバスが、大会後に男子代表ヘッドコーチ(HC)へ転身したのはご存知のとおり。
新指揮官がもたらした改革の一つが、“脱オールスター化”だ。
日本代表とオールスターの関係
2018年1月。前任のフリオ・ラマスHCが指揮をとっていた時代には、オールスターの開催地となった熊本で、オールスターゲーム後に代表合宿が行なわれたことがあった。代表選手の多くがオールスターに選ばれていたため、それが効率的だと考えられたからだった。
だが、今は違う。その違いは一目でわかる。
今年1月のオールスターに選ばれた選手のうち、日本代表として出場する資格のある者は20人いた(*ただし、オールスター自体は新型コロナウイルスの影響などもあり開催中止)。
しかし、そのメンバーと、2月末に行なわれた日本代表戦の顔触れは大きく異なっていた。
前提として、ケガやコンディション不良で、本来は選ばれるはずの代表選手がいなかったという事実はある。ただ、その変化の大きさには目を見張るものがあった。代表戦2試合でベンチ入りした選手の総計15人のうち、オールスターにも選ばれていた選手はわずか3人だけだったのだから。
高田真希の証言「『君にはこういうことを求めている』と…」
両方に選ばれたのは、日本代表でキャプテンを務める富樫勇樹、チャイニーズタイペイ戦で最多27得点を記録した西田優大と、PG(ポイントガード)の安藤誓哉のみである。
“脱オールスター化”の真意はどこにあるのか。それを探るうえで最高の証言がある。東京オリンピックの女子代表チームでキャプテンを任されていた高田真希のものだ。彼女はオリンピック後にこう話していた。
「ホーバスHCが、各選手としっかりコミュニケーションを取って、『君にはこういうことを求めている』と役割を明確にしてくれたのが大きかったです。若い選手から、私のようなベテランまで、何を求められているのかが明確になっていたので、良いプレーができた。それがメダルにつながったと思います」