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タイガー・クイーンは“女子プロレスの生態系”を破壊している? 男女タイガータッグ結成で無敗継続も、今後求められる“世界観の構築”

posted2022/05/12 11:01

 
タイガー・クイーンは“女子プロレスの生態系”を破壊している? 男女タイガータッグ結成で無敗継続も、今後求められる“世界観の構築”<Number Web> photograph by Norihiro Hashimoto

自身2度目のミックスマッチに挑み、タイガー・スープレックスで世羅りさから3カウントを奪ったタイガー・クイーン

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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Norihiro Hashimoto

 厳しい試合は多い。それでも負けない。負けられない。

 “女性版タイガーマスク”タイガー・クイーンは、昨年7月のデビュー以来、いまだ3カウントもギブアップも奪われていない。タッグマッチでパートナーに黒星がついたことはあるが、自身はいまだ“無傷”だ。

 タイガー・クイーンは初代タイガーマスクである佐山聡の「ストロングスタイルプロレス」でデビュー。佐山と女子プロレスのレジェンドであるジャガー横田が育てた選手だ。80年代に一世を風靡し、今なおファンが多い伝説的レスラーの“直系”の後継者ということになる。しかもそれが女子レスラーという新しさ。

 試合数が多いわけではないが、だからこそ1試合ごとの注目度も高い。そしてタイガー・クイーンは、その注目度を超える結果を出してきた。

 昨年7月のデビュー戦では“デスマッチ・アマゾネス”山下りなをタイガー・スープレックスでフォール。デスマッチで男子とも渡り合う実力者にいきなり勝ったのだからインパクトは大きかった。

異例のポジション“勝ち続ける”タイガー・クイーン 

 その後も佐藤綾子(ディアナ)、彩羽匠(マーベラス)、ライディーン鋼(PURE-J)、フリーの伊藤薫に高瀬みゆきと、いくつものベルトを巻いてきたトップ選手たちを下している。並の新人、いやよほどの大物ルーキーでも、ここまでの結果は出せるものではない。

 新日本プロレスで活躍した初代タイガーマスクも、めったなことでは負けなかった。シングルマッチでの敗北はわずかに1つ。最大のライバルだったダイナマイト・キッド相手に喫したもので、現在はないルール「フェンスアウト」による反則負けというものだ。その“正体”が大天才・佐山聡だったから、負けないことに誰もが納得する試合ぶりを見せていた、ということもあるだろう。

 ジャガーをして「初代タイガーのクローン」と言わしめた動きだけでなく、クイーンは“勝ち続ける”ことでも初代を踏襲、継承していることになる。勝ったり負けたりしながらドラマを紡いでいくのが現代プロレスの基本だから、これは相当に異例のポジションと言っていい。

【次ページ】 佐山直系の“男女タイガータッグ”が誕生

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