フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
《独占》「リカは再び3アクセルを跳ぶでしょう」ブライアン・オーサーが語る紀平梨花への期待…五輪で羽生結弦について“無言を貫いた”理由は
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byAkiko Tamura/Getty Images
posted2022/05/12 17:02
紀平梨花、羽生結弦らを指導するブライアン・オーサーコーチが独占インタビューに応じた
また男子に関しては、こう感想を述べた。
「とてもレベルの高い闘いでしたね。ネイサン(・チェン)は最有力候補で、それに相応しい演技を見せた。私はチャ・ジュンファンがトップ6入りを目指していたけれど、表彰台に上がるのだって不可能ではない、と言ったんです。ジュンファンは、私が彼をそこまで高評価していることに感激し、それが彼にさらなる力を与えたようでした。総合で5位だったので、私の言っていたことはそこまではずれたわけではありません」
羽生結弦に関してノーコメントを貫いた理由
羽生結弦はコーチ無しで挑むことを選択し、オーサーはリンク際に立たなかった。開催中にオーサーが、羽生についてはコメントしないと宣言したことも話題になった。
「ユヅはプライバシーを大切にする選手なので、私は彼に関してのコメントには普段からとても気をつけるようにしています。彼のことは8年間も指導して来て、加えてパンデミックが2年あったので、ユヅはちょうど10年前に私のところに来たのです。彼の考えていることはよくわかるし、情も移っています。とても尊敬しているし、彼の意志を尊重しています。本人が一人で赴くと決めたことは理解できたし、問題ありませんでした。ただ私はジュンファンとジェイソンに対する責任があったので、彼ら以外の選手に関する話ばかりするのはフェアではなかった。だから自分がこの大会に引率している生徒に関すること以外はコメントしない、と言ったのです」
実際の羽生の演技と結果については、どう感じたのだろうか。
「SPのサルコウの不運な失敗がなければ、ユヅはフリーでももっと力を出せたと思う。全日本選手権で見せたような演技をしていたなら、全く違った結果になっていたはずです。彼が結果にとても失望していたのは知っています」
現在は、連絡は取り合っていないのだという。
「どのみち毎年この時期は、ユヅはアイスショーに集中しているので連絡が途切れるのは普通のことです。今後どうするのか、彼が決断するのを今は待っている状態です」
6月には紀平がまたトロントに戻ってきてトレーニングを再開する予定だという。また羽生が来季の活動をどのようにするのか。6月のISU総会では、どのような新ルールが誕生するのか。新たな4年が始まろうとしている。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。