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スターダム新勢力God's Eye、無敗の原動力とは? 下剋上でトーナメント優勝のMIRAIに朱里が語った期待「少しの変化で大きく伸びる」
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2022/05/10 17:01
4度目の王座防衛を果たした朱里と、シンデレラ・トーナメント優勝のMIRAI。God's Eyeの快進撃が続いている
そうしてMIRAIは経験値を得た。同時に心の中に悔しさもためこんだ。
「プロレスが好きでプロレスラーになって、楽しいことも多かったけど楽しいことばかりじゃなかったです。大事な試合では悔しい思いばかりだったので」
東京女子プロレスでも、シングル(インターナショナル・プリンセス)、タッグ王座に挑戦したが戴冠はならず。力があるからチャンスが回ってきて、でも勝てずに唇を噛んだ。
「だからこの勝ちは凄く嬉しいです」
優勝したMIRAIに向けて朱里が語った思い
シンデレラ・トーナメントは優勝者がドレス姿で表彰式に登場するのが恒例だ。初めて着たドレスを周りの選手たちに「かわいい!」と言われて照れていたMIRAIだったが、その意味は強く感じていた。
「このドレスを着ることができたのは優勝したからですよね。ドレスが似合うかどうかは見た人が決めること。でもドレスを着るにふさわしい、トップにふさわしい人間になりたいです」
自分の性格は「優柔不断」だという。「世界最高峰だと思っている」からスターダムに来たが、それだって一大決心だった。スターダムで闘ってみると、主張しなければ埋もれてしまうことに気づいた。
「ここでは前に出てチャンスを掴みに行かなきゃいけない。スターダムに来てから自分を出す、見せるという面で成長できたかなと思います。ベルトに挑戦したり、主張することができるようになりました」
そんなMIRAIを見守る朱里も、彼女の成長を「凄く感じてます」。DDM時代から基本的な能力の高さを高く評価していたが、最近は「イキイキしてますね。“素”が出せるようになってきたのかな。ちょっとした変化なんですけど、そこで自信をつけると大きく伸びるんですよ」と言う。
God's Eyeが続ける無敗の快進撃
シンデレラ・トーナメント優勝は、スターダム参戦以来の変化がもたらしたものだ。「MIRAIが成果を出してくれました」と朱里。God's Eyeにとっても、結成以来初の成果だった。
MIRAIは表彰式で上谷の白いベルトに挑戦表明。朱里は次の挑戦者にフリー女子ユニット「プロミネンス」の世羅りさを指名した。2年前、アイスリボン参戦時に敗れた相手と「決着戦をやりたい」からだ。朱里vs世羅の赤いベルト戦は、スターダムの光景としては相当に斬新と言っていい。
キャリア14年目。さまざまなリングに上がってきた朱里だから紡ぐことのできる物語がある。朱里だから見せられるスターダムの新たな景色がある。
ゴールデンウィークの西日本ツアーでは、昨年末に体調不良もあって退団した小波が新メンバーとして期間限定参戦。God's Eyeは新たな景色とともに無敗をキープしている。
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