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王者・AZMが「天才」と断言し溺愛する駿河メイ、その真の凄さとは? ハイスピード王座戦で敗北もスターダムファンが熱狂した理由 

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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photograph byNorihiro Hashimoto

posted2022/05/08 11:01

王者・AZMが「天才」と断言し溺愛する駿河メイ、その真の凄さとは? ハイスピード王座戦で敗北もスターダムファンが熱狂した理由<Number Web> photograph by Norihiro Hashimoto

4月29日のスターダム大田区大会にて、ハイスピード王座をかけて対戦したAZMと駿河メイ

 序盤、腕の取り合いからメイがクルクルと回って社交ダンスのような動きとポーズを決める。思わずAZMもポーズ。レフェリーを巻き込んでの攻防の独創性には拍手が鳴り止まない。AZMの髪(エクステ)をロープでこすってちぎろうとする場面では観客を笑わせた。メイ自身もとにかく笑顔だった。

 場外では鉄柱に投げられると三角飛びで切り返し、ボディアタック。解説席に向かうとヘッドセットを着けて中継の視聴者にもアピールした。

 自由奔放、汲めども尽きぬ斬新なアイディア。スターダムファンがメイの世界に引き込まれて、動き一つを出すたびに魅了されていくのが伝わってきた。

「こんな凄い選手がいるのか」

「自分たちは今とんでもない試合を見てるんじゃないのか」

 その楽しさと興奮が最後まで続いた。AZMはリングの対角線をダッシュしての鉄柱越えボディアタックで反撃。コーナーに飛び乗った時にフラつきながらも決めてみせた。着地すると「セーフ!」。AZMの楽しそうな姿も印象的だ。

AZM「心を掴んだという意味ではメイちゃんの圧勝」

 関節技の攻防、得意技の切り返しから丸め込み合戦。あらゆる局面で楽しく激しく競り合って、最後はAZMが得意技「あずみ寿司」2連発でベルトを守った。13分6秒はタイトルマッチとしては短い時間だが、その短さに凝縮された攻防がハイスピードの真髄だ。試合を終えたAZMは言った。

「久しぶりに不安のドキドキじゃなく、ディズニー行く前日みたいなドキドキを感じましたね。試合、何分くらいでした? 13分とかかな。13分、ずっとジェットコースターに乗ってた気分です」

 さらにこう付け加えた。

「初めてメイちゃんの試合を見た人もいたと思うんですよ。そういう人にも、私がメイちゃん大好きって言ってる理由が分かったんじゃないかなと。お客さんの心を掴んだという意味ではメイちゃんの圧勝だったんじゃないでしょうか」

 試合前に「天才」と言ったことといい、大変な絶賛。もはや“溺愛”だ。駿河メイにそれだけの力があるのは間違いない。

【次ページ】 ロープもコーナーもない市ヶ谷の極小会場で磨かれた“プロレス頭”

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