2021年M-1・全員インタビューBACK NUMBER
なぜ漫才師はスーツを着るのか? スーツ歴1年の“M-1・肉うどんネタ”ロングコートダディに聞く「ナメられなくなった気がします」
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byShigeki Yamamoto
posted2022/04/17 17:02
結成12年で初の決勝進出を果たしたロングコートダディ。堂前透(32歳、左)と兎(33歳)。吉本興業所属
兎 今回、ちょっと思ったのは、好きなのはコントやけど、僕らにより向いてんのは漫才やったんかなと。漫才の方が、二人の関係性だったり、素のキャラが伝わりやすいじゃないですか。コントになってしまうと完全に役に入ってしまうので、そのあたりが見えなくなってしまうんですよね。
堂前 僕は漫才の方が向いてるとはまったく思わなかったですけど。
――2人の漫才はいわゆる「漫才コント」ですが、純然たるコントと漫才コントでは明確な違いがあるものですか。
堂前 あんまり変わらない気がしますね。漫才だからといって、そんなにしゃべりを増やしているわけでもないですし。普通に間も多いので。スーツを着ているかどうかくらいじゃないですか。
――そういえば、今大会から、おそろいのスーツを着ていましたね。以前は紺色のシャツをズボンの外に出し、ネクタイを締めていただけでしたもんね。
兎 本当は2020年のM-1予選からスーツに替えようと思っていたのですが、動き出しがちょっと遅くて。(仕立てが)間に合わなかったんです。なので、去年はM-1が終わってすぐ、1月ぐらいにスーツ屋さんへいって採寸してもらいました。そんで、3月か4月あたりからスーツを着始めた。でも、急にウケなくなっちゃって。
――えっ、そういうものですか?
堂前 ちゃんとした恰好で出てきて、そこまでちゃんとしたことしないんで、変な感じになっちゃったのかも。
――スーツが体に馴染んでくると、客の反応は、また変わってくるものですか。
兎 お客さんというより、こっちの漫才がうまくなったような気がしました。スーツを着るようになって、以前より、しっかり漫才と向き合うようになってきたので。
――ジャルジャルはスーツを着るようになってから、周りが「漫才師」として見てくれるようになった気がする、と話していましたが。
堂前 それは確かに。なめられなくなった気はします。
10年前、なぜ一度解散したのか?
――スーツを着るようになったのは、それまでのM-1でコント師であることがマイナスに作用していた、という感覚がどこかにあったからなのでしょうか。