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パリ五輪で日本バドミントンは“復権”できるか? 伝統の大会・全英オープン初制覇の新星「シダマツ」の勝ちっぷりが凄すぎた
posted2022/04/18 06:00
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph by
AFLO
複数種目で東京五輪の頂点に立つ実力を持ちながら、金メダルなしに終わった日本バドミントン界が、再び活況を呈している。3月16日から20日まで行なわれた全英オープン。女子ダブルスを制したのは、世界ランキングで言えば日本の3番手(7位)に位置していた“シダマツ”こと、志田千陽&松山奈未組(再春館製薬所)だった。
24歳の志田と23歳の松山は、100年以上の伝統と格式を誇る大会で初優勝を飾り、「うれしい気持ちとホッとした気持ちがある」(志田)、「攻撃とスピードという自分たちのスタイルを最後までやり通せた」(松山)と充実の笑顔を浮かべた。
志田が青森山田中・高校出身、松山が九州国際大付属中・高校出身と経歴は異なるが、日の丸をつけてダブルスを組んだ2015年世界ジュニア選手権で銅メダルに輝くなど、ペア歴は長い。東京五輪の出場権争いでは“フクヒロ”こと福島由紀・廣田彩花組と、“ナガマツ”こと永原和可那・松本麻佑組に世界ランキングで及ばず、出場はかなわなかったが、昨秋から台頭した。
5試合すべてストレート勝ちという凄さ
3年連続3度目の出場となった全英オープンでは、準々決勝で東京五輪銅メダルの金昭映・孔熙容組(韓国)に初勝利を飾って勢いに乗った。
決勝では今年からダブルスを組み始めた中国ペアを圧倒。第1ゲームは立ち上がりから集中力を研ぎ澄ませ、序盤の6連続ポイントで主導権を握ると、第2ゲームは終始危なげない試合運びで2-0(21-13、21-9)の勝利。終わってみれば、1回戦から決勝まで5試合すべてストレート勝ちという圧巻のビッグタイトル奪取となった。
多彩な球種、コート全体を使ったラリーの組み立てなど攻撃の良さが目立っただけでなく、守備範囲の広さや丁寧なプレーも光っての優勝。松山は「自分たちの成長を結果が物語った」と胸を張った。
今大会、日本勢は女子シングルスで山口茜が初優勝。東京五輪混合ダブルス銅メダルの渡辺勇大・東野有紗組は連覇を達成した。志田・松山組が優勝した女子ダブルスは'16年の高橋礼華・松友美佐紀組、'20年の福島・廣田組、'21年の永原・松本組に続き、日本勢の優勝は3年連続4度目。パリ五輪ではやはり、バドミントンから目が離せないということを、たくましくアピールした。