「スタートを切れた時点で勝負にはなると思ったけど、その後、雲行きが怪しくなってしまいました。スペースのところへ入ってしまい、直線では追い出しを待たされる形になりました。正直、これは勝ち負けどころか（桜花賞の）権利もとれないと覚悟しました」

　ところが外の馬を先に行かせてスペースを確保すると、その後は素晴らしい末脚を披露。早目に先頭に立とうとした2歳女王のサークルオブライフや、インを強襲したピンハイをしり目に、堂々と抜け出し、先頭でゴールを駆け抜けた。

「最後は“さすが”の脚でした。あれだけ厳しい形になっても勝てる能力がある事が分かったという意味では、結果的に良い経験が出来たと考えています」

最終追い切りでの横山武史の“一言”

　前走後はノーザンファームしがらきに放牧に出した。

「その後、本番を見据えて帰厩させましたが、疲れがとれてフレッシュな状態になっていました。牧場で丁寧にケアをしてもらい、上手に回復させてもらえたと感じました」

　4月6日の最終追い切りには美浦から横山武史騎手がかけつけた。高野調教師は「しまいだけで良いから」と伝えたと言い、その理由を語った。

「1週前追い切りが予定より速かったので、それを活かすために最終追い切りはあえて軽目にしました。横山武史騎手には『序盤はゆっくり入って、最後だけ少しあげてくれれば良いから』と指示しました。実際、その指示通りに乗ってくれました。ジョッキーは開口一番で『大丈夫です』と言ってくれたので、実際に良い状態を維持してくれていると信じています」

正直に明かした「心配材料」とは？

　その上で、逆に心配材料はないか？ と問うと「勿論、ないわけではありません」と言い、続けた。

「前走、スタート自体は出てくれたけど、前脚を上げて行くような感じだったので、まだ全幅の信頼を置けるとは考えていません。また、理想を言えば体ももう少し大きくなってほしいし、前走で勝ったとはいえ、GI馬のサークルオブライフら敬意を持って戦わないといけない強い相手も沢山います」

　そう言うと、ひと呼吸置いて、続けた。

「やはりGIを勝つというのは本当に大変で、容易な事ではありません。でも、だからこそナミュールには頑張ってもらいたいですね」

　先週の大阪杯（GI）では高野調教師が送り込んだレイパパレが2着に惜敗し、横山武史騎手が騎乗したエフフォーリアは1番人気に推されながらも9着に敗れた。1週遅れで2人が快哉を叫べるか。4月10日の阪神競馬場に注目しよう。