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[番記者は見た]スプリングトレーニング密着1週間
posted2022/03/31 07:08
text by
柳原直之(スポーツニッポン)Naoyuki Yanagihara
photograph by
Nanae Suzuki
今年も野球少年のような笑顔がグラウンドに戻ってきた。担当9年目の記者が見た、キャンプ初日から7日間の記録。
99日間のロックアウトが終わり、いつでも渡米できるようにあらかじめまとめていたスーツケースを引きずりアリゾナ州に向かった。昨年はコロナ禍で取材ができなかったため、2年ぶりのキャンプ取材である。3月13日。球場に向かうと、タイミング良く、身体検査のために訪れた大谷翔平が現れた。翌日のキャンプインを控え、明るい表情からは喜びがにじみ出ていた。
3月14日 「しゃす!」
アリゾナ州特有の冷たい朝の風が吹いていた。午前7時40分。大谷が左肩に真っ赤なバットケースを担ぎ、水原一平通訳とともにキャンプ施設に入った。ロックアウトの影響で予定より26日遅く始まったメジャー5年目のキャンプ。大谷に割り当てられたクラブハウスの席は入って右横の2席。隣席は同い年で仲が良い内野手フレッチャーだ。筆者があいさつに向かうと大谷は「しゃす!」と笑顔。担当9年目を迎えるが、メディアとの距離感は近すぎず離れすぎず、という印象はずっと変わらない。日米合わせスチルカメラ10台、テレビカメラ7台、約30人の報道陣が集まった。実に昨夏のホームランダービー以来の屋外フリー打撃では43スイング中、柵越え8本。初日とは思えないスイングの鋭さ。昨季より左肘を高く掲げ、バットの先端がより投手方向に向いた新たなフォームが目を引いた。現状に満足しない大谷らしさがのぞく。