田渕　ですね。一度、観られちゃってるんでね。なので、予選を勝ち抜くには、やっぱり3本はネタを持っておきたいところですよね。

きむ　3回戦も気を抜けないんですよ。あそこでウケると、お客さんが「めっちゃウケてた」って発信してくれて、それが大会の流れになったりするんです。「インディアンス、今年ええらしいな」って。そういうのって審査にも少なからず影響すると思うので、3回戦だからといって絶対、手は抜けないんです。

田渕　あそこで落ちることだって、ぜんぜんありますからね。

――今大会は、前半5組までは比較的穏やかな流れで、6番手のオズワルドが爆発させてから一気に会場が熱を帯びてきました。その流れをどう見ていましたか。

田渕　僕は前のコンビがウケてる方が好きなんで。オズワルドから盛り上がって来て、この流れに乗っかれるかなと思ってましたね。だから、8番手の錦鯉さんもめっちゃウケてたんで、その後でラッキーだなと思いました。

――大爆笑であろうとなんであろうと。

田渕　そのおこぼれにあずかろうという感じです。重たいよりはいい。ただ、2019年のミルクボーイさんくらいウケると、さすがにその後は怖いですけど。史上最高点も出て、おれらにそこまでできるのかという不安が過るので。

きむ　僕は普段通りやりたかったので、他の人のネタのときは、廊下に出て、ぐるぐるぐるぐる回っていました。人がウケてるのを見てしまうと、自分がやってるときに「あれ、このボケ、さっきのコンビより返りが弱いな」とか、漫才中に考えちゃうんですよ。

――そうして控室の外で時間をつぶしている人は、他にもいるものですか。

きむ　僕だけでしたね。他の人たちは、ある程度、様子をうかがっていたと思います。

田渕　初出場組は、やっぱり気になってモニターを見ていたと思いますよ。

きむ　スタッフさんにも、ここにずっと居てくださいって釘刺されるしな。

田渕　でも、3年目にして、気づいちゃいました。ずっとおらんでもええみたいです。

＜#2、#3へ続く＞

（写真＝山元茂樹）

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