2021年M-1・全員インタビューBACK NUMBER
M-1過去最高3位インディアンス「え、3票あったら優勝ちゃうん?」最終審査のドキドキを告白「オール巨人師匠がオズワルドでああっ…」
posted2022/03/27 17:03
text by
中村計Kei Nakamura
photograph by
Shigeki Yamamoto
3年連続でM-1決勝進出を果たしたインディアンスの田渕章裕(36歳)ときむ(34歳)。9位、7位、そして昨年は初の最終決戦進出で自身最高の3位。確実に順位を上げている2人が最終審査でのドキドキを語る(全3回の3回目/#1、#2へ)。
――最終決戦まで勝ち進むのは今回が初めてでしたけど、あそこまでいったら、もう緊張とかはしないものですか。
田渕 トップだったし、あとはもうやるだけやなという感じでしたね。
きむ ただ、最終決戦は、会場がちょっと重く感じたんですよ。このネタ、もっとウケるはずやのになと思いながらやっていました。
――そんなことってあるんですか。会場はもうあたたまり切っているものではないのですか。
きむ そう思ってたんですよ。だから、なんなんやろなと。僕らの次の錦鯉さんも、そこまでウケているという感じではなかったですから。たぶん「オズワルド待ち」やったんでしょうね。1本目、あれだけ沸かせましたから。当然、お客さんは僕らのネタよりもオズワルドのネタを心待ちにしていた。ただ、待っていた割に、オズワルドのときも空気は重いままでした。期待値が上昇していたぶん、2本目のネタがそこまで響かなかったんでしょうね。結果、またひとつ、ぐっと空気が沈んじゃったんだと思います。
今田さんが「これ、ほんまにわからんなあ」
――そういうこともあるんですか……。最終審査の瞬間は、いかがでしたか。
田渕 僕は錦鯉さんやって思いましたね。ウケ量的には僕らも負けてないと思ったんですけど、雰囲気がありましたもん。年齢を重ねた芸人にしか出せない重みというか、深みというか。50歳がアホをやるパワーに吹っ飛ばされた感じがしましたから。
きむ 僕は正直、オズワルドの2本目が1本目ほどではないなってなった瞬間に、そわそわし始めました。イスに座ってたんですけど、思わず背もたれから体が離れましたもん。「あれ? マジ?」って。最終決戦が終わって、最後、3組が舞台に並ぶじゃないですか。あんときも、MCの今田(耕司)さんが素で「いや、これ、ほんまにわからんなあ……」っておっしゃっていましたから。審査員の方々も無茶苦茶悩んでるような顔に見えたんですよ。下手したら、これ、僕らもあるんじゃないのかなと思って。僕らって、元気な漫才師というイメージじゃないですか。僕の勝手な予想ですけど、(オール)巨人師匠は、そういうタイプが好みなのでは?と思ってまして。(中川家)礼ニさんも、これもまた勝手な予想ですけど、元気な漫才師に入れてくれるのでは?と思ってて。これで2票ですよね? で、上沼(恵美子)さんが1本目のとき98点という自己最高点を付けてくれていたんで、当然、可能性はある。あれ、3票あるぞ、と。票が割れれば「3票あったら優勝ちゃうん?」ってなってて。そこから、さらにそわそわし始めましたね。ただ、1人目の巨人師匠の名前がクルっと回って「オズワルド」って出たときは、やっぱりオズワルドかなと。
田渕 僕は2人目の富澤(たけし)さんが錦鯉さんに入れたのを見て、これは錦鯉さんで決まりだろうなと思いましたね。
「あれ見て、僕も涙が出ちゃいましたね」
――結局、そこから5人連続で錦鯉さんの名前が挙がって、1対1対5で錦鯉さんの圧勝に終わりました。そのときの感情は、いかがでしたか。