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プロレス写真記者の眼BACK NUMBER
「私、学校では暗いんで…」妹思いの“現役女子高生ファイター”羽南が明かす「進路がプロレスラーになった日」《特別グラビア》
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2022/03/24 17:01
現役女子高生レスラーの羽南は、3月26日の両国国技館で中学生の妹・吏南と激突。姉妹によるタイトルマッチに注目が集まっている
「中3で腰をケガして、そこから受験の休みに入っちゃって。もうプロレスはできないかもな、って思いました。でも、高校生になって復帰したら、プロレスがどんどん楽しくなってきちゃった。そうこうしている時に、フューチャーに挑戦できることが決まったんです」
進路を決めなければいけない大事な時期だった。プロレスを続けるか、やめるか。
「ベルトを取ったらプロレスを続けよう。取れなかったら、高校の3年間でプロレスは辞めて、看護の専門学校に行こう」と羽南は決めた。
昨年12月29日、両国国技館。同い年のライバル・琉悪夏との戦いに勝利した羽南は念願のフューチャー王座を獲得した。進路が「プロレスラー」に決まった瞬間だった。
「私、学校では暗いんで…」現役女子高生の素顔
羽南の格闘技のルーツは柔道だ。小学1年生から始めて、6年生まで続けた。プロレスラーになったのは、プロレス好きの父の影響が大きかった。
「家の近くの道場でパパが柔道を教えていて、私は大外刈りが得意でした。4年生の9月だったかな。家族でプロレスを見に行くことになったんです。パパは主に男子の団体を見ていたんですけど、みんなで行くなら女子の方がいいだろうと。たまたま一番近い日に後楽園でスターダムがあった。メインはたしか(高橋)奈苗(現・奈七永)さんと(紫雷)イオさん。その前のカードの流血試合が怖かったので、私は『もうダメ』と思ったんですが、妃南が『楽しそう』ってハマっちゃって(笑)。次の年の1月から、3人一緒に練習生になりました」
栃木県の家から道場は遠かった。それでも、練習できることが楽しかった。
「中学時代は、友達もプロレスをやっていることを知っていました。でも、高校に入ってからは先生以外には話していないから、誰も知らないはず。周りは『なんでそんなに早退するんだろう』って、不思議に思っているんでしょうね(笑)。私、学校では暗いんで。ブサイクでシーンとしている。それでいいんです。普段は目立たずにいたい」
溌剌としたリング上の“JKファイター”のイメージとは真逆だ。休日に妹たちと外出することもほとんどないという。
「オフの私と一緒にいるのが恥ずかしいみたいです。ダサいから一緒にいたくない、近寄りたくない、って(笑)」