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将棋PRESSBACK NUMBER
「今の藤井聡太さんはステフィン・カリーのような…」 NBA愛がガチな棋士・増田康宏六段が語る“現代バスケと将棋の共通点”
posted2022/03/26 17:01
text by
北野新太Arata Kitano
photograph by
Arata Kitano
オールスターウィークエンドの熱狂も遠のくと、NBAはシーズン終盤に入る。そしてプレイオフへの決算期を迎える。2月のトレードデッドラインにおける決断が各チームに躍進や凋落をもたらし、戦況に変化の生じる時期でもある。
今季、最も話題を集めているのはシクサーズだろう。元オールスターガードのベン・シモンズらとの大型トレードでネッツからMVP経験者のジェームズ・ハーデンを獲得し、イースタン・カンファレンスの戦力分布図を動かした。
ハーデンはスコアリングとゲームメイクでチームを牽引し、加入直後に5連勝に導いた。ラインアップ全体に調和を生み、リーグ最高のセンターであるジョエル・エンビードとの相性は、コート上もコート外も良好な様子である。3月11日に前所属のネッツに大敗した後は気の早いOBやファンからは手厳しい声も上がったが、4月に始まる真の勝負に向け、楽しみなチームであることは間違いないだろう。
「ハーデンとエンビードのデュオはヤバい」
10年来のハーデン推しである将棋棋士六段・増田康宏は、珍しく高揚した様子で語る。
「ヤバイですね。ネッツでのハーデンは(ケビン・)デュラントとかの周囲とバランスを取ることに難しさを覚えているような印象を受けていましたけど、エンビードとのデュオはヤバイです。エンビードはスペースを空けられるプレイヤーなので、ハーデンはこれからまたスコアラーとして点をガンガン取っていきますよ。他のスターターもリザーブも良いメンバーが揃ってるし、イーストはシクサーズが本命になると思います」
知る人ぞ知るNBAフリークである24歳の実力者は、弱冠16歳で四段昇段を果たして以来、異彩の棋士として存在感を放ってきた。
江戸時代から継承されてきた戦型の終焉を独自に断じた「矢倉は終わった」発言。棋力向上に不可欠とされてきた鍛錬法に疑問符を投げ掛けた「詰将棋、意味ない」発言。
いつも朗らかな青年だが、自らを偽って無駄に空気を読んだりはしない。プロフェッショナルの勝負師らしい率直さは、むしろファンから熱い支持を集めている。今期は盤上で23勝11敗と好調を維持。勝率.676(18日現在)でランキング13位に付けている。
当然と言うべきか、彼のNBA観も平均的なフリークのものとは異なる。興味深いのは多くの部分で将棋観とも重なること。
現代NBA、そして現代将棋に対する持論とは――増田に聞いた。
スラムダンクを読んだことはないが……
――増田さんがNBA好きだってこと、将棋ファンにもあまり知られてないと思うんですけど、いつ頃からなんですか?