2021年M-1・全員インタビューBACK NUMBER
“最年少”28歳コンビ「もも」が語る、なぜ吉本芸人がM-1で圧倒的なのか?「劇場出番が12倍になった」「紳助さんの“ラスト30秒”を意識した」
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byShigeki Yamamoto
posted2022/03/20 17:00
結成4年でM-1決勝初出場となったもも。金髪の方がまもる。(28歳)、メガネの方がせめる。(28歳)。大阪吉本所属
せめる。 ある日、ザ・ぼんちの(里見)まさと師匠が僕らのネタを袖から見ていてくれて、終わったあと、「NGKのお客さんを無視した、M-1だけに特化した漫才やな。素敵やで」って言ってくれて。M-1にかけているこの感じを褒めてくださったんだと思うんですけど、なんか、うれしかったですね。
まもる。 ただ、回数を重ねるうちに、だんだん、NGKのお客さんに合わせるようにはなっていきました。スピード感とか。
せめる。 ゆっくりになったな。いつもよりだいぶ。M-1決勝も、初めての人にもわかってもらえるように、出だしはかなりゆっくり入りました。そのへんの工夫はNGKで鍛えられた効果やな。
――決勝は、ものすごく丁寧にやっている印象がありましたよね。
まもる。 なんか、ネタの分析みたいの自分で言うのんって、嫌なもんやな。
――差し支えがない範囲で構いませんので……。今回は、予選を通して、いつも以上に後半に向けての疾走感もすごかった気がします。
まもる。 (島田)紳助さんが「大事なのはラスト30秒」ってよう言ってたじゃないですか。そこで、どんだけ叩き込めるか、やって。そこは意識していましたね。
せめる。 とにかく強いワードを持ってきて、最後、いかにうわーっという大きな拍手をもらえるか。ただ、今回の予選は、出ていったときから、ああ、迎えられているなという感じがありましたね。
「誰がエントリーナンバー1番やったか聞いた」
――それは知名度が上がったからでしょうか。
せめる。 いや、僕が思うんは、エントリーナンバーが6番やったからちゃうかと思うんです。お客さんの中に、6番のファイナリスト、見てみたいなというのがあったんちゃうかな、と。
まもる。 あるかい、そんなもん。
せめる。 いや、僕、予選中に何回か〈6番が勝ち進むの、おもろいな〉みたいにツイッターでつぶやいたんですよ。そのたびに反応がよかったんです。
――ファイナリストというと、2000番台、3000番台と、大きな番号のイメージが強いですもんね。昨年は6017組もエントリーしていましたし。ファイナリストで、これまでいちばん若かったエントリー番号って、何番なんでしょうね。
せめる。 かまいたちさんが2017年に37番で出てますね。一桁のファイナリストは史上初だって言われました。
――ファンの方は、意外と、そこをおもしろがってたのかもしれませんね。
せめる。 M-1って、ネタはもちろんですけど、予選中にどこまで「この子らを決勝で見たい」って思わせるかやと思うんですよ。そんな中で、エントリー番号6っていうのは、「この子ら、めっちゃやる気やな」って思ってもらえる要素にはなったと思います。
――基本的には、エントリーが早い人から若い番号が付いていくわけですよね。