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〈順位戦勝率.942〉藤井聡太“史上最年少名人”へA級昇級…「将棋界の横綱に」と語った日、渡辺明や谷川浩司が受けた衝撃
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NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byJIJI PRESS
posted2022/03/10 17:01
19歳にして順位戦A級昇級を決めた藤井聡太五冠
中学生棋士としてデビューした谷川。当時の棋士が思いつかない手順で相手方の玉に迫ることから、「光速の寄せ」と称されるスピード感あるスタイルで、1970年代後半から80年代前半の将棋界を席巻していく。
その中でも特筆すべきは順位戦だった。
デビュー1年目こそ昇級はならなかったものの、そこから4期連続で昇級を果たし、一気にA級棋士の座へとたどり着いた(1度しか“足踏み”しなかったという点では藤井と共通する)。さらには現在のA級順位戦にあたる「名人戦挑戦者決定リーグ戦」で7勝2敗の好成績を残す。
同成績だった中原とのプレーオフを制して名人戦挑戦権を手に入れると、前期悲願の名人位を獲得した加藤一二三九段相手に4勝2敗で勝ち、初タイトルにして21歳での史上最年少名人となったのだ。
そんな谷川は、2020年度の順位戦B級2組で藤井と対局した。その一局を前にして谷川は「イチロー選手も、大谷翔平の球を打ってみたかったと思うんです」と好きだという野球にたとえて語っていた。対局は藤井が76手で勝利したものの、世代を超えた天才同士の対決に胸を熱くしたファンは数多かった。そして冒頭の言葉は「光速流」と称された谷川の棋力、そして実際に盤面をはさんだからこそ分かる感覚なのだろう。
藤井先生なら誰も見たことのない景色に……
<名言4>
藤井先生なら誰も見たことのない景色に連れていってくれるのでは――それを間近で見ることができるかもしれない。そういう楽しみはありますね。
(藤井奈々/Number1044号 2022年1月20日発売)
◇解説◇
藤井の一局一局は、棋士はもちろんのこと、それを見つめる人々すら魅了する。女流棋士でありながら、観戦記者としても活動する藤井奈々女流初段もその1人だ。
本業と並行して2020年から対局者の一挙手一投足を伝える立場にいる藤井奈々は、「締め切りもあって大変でツラいです」とこぼすこともあるが、これまで藤井聡太の対局を計3局担当。さらには奈々の地元・京都で開催された竜王戦第2局(仁和寺)に自ら足を運ぶなど、観戦記者としての責務を果たしている。
そんな観戦記者・藤井の目を通して見た「竜王・藤井」は――ここ2年で質問に対する答えの“枝”が増えたそうだ。そんな人間性とともに、ますます磨かれていく藤井将棋の美しさと強さ。「誰も見たことのない景色」と評した藤井奈々の言葉のように、来期順位戦、そしてタイトル戦でもまた藤井の一手が輝きを放つのだろう。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。