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「アンチにディスられても、私は傷つかない」“ブラックピーチ”に豹変したスターダム・渡辺桃が明かすヒールターンの真相《特別グラビア》
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2022/03/08 17:01
昨年12月、衝撃的なヒールターンを遂げたスターダムの渡辺桃。その裏側にはプロレスラーとして「殻を破りたい」という思いがあった
しばらくは“ブラピ”のヒール力の増強に専念する構えだ。
「あえていうなら、今はゴッデスかな。タッグだったら組むのはキッド。新しい連携技作ったら評判良くて。効くんだよね、めちゃ威力あって。キッドとは初めて組んだけど、意外と合うんですよ。貪欲なところとか」
ヒールの快感への目覚め「思いっきり悪口が言える」
渡辺はうれしそうに不敵に笑う。大江戸隊に入ってよかったことは「公に悪口が言える」ことだという。
「それまではキャラクター的に悪口は控えていた。言いたくても言わないようにしていた。でも、思いっきり悪口が言える。これからは思ったことを全部言うだけだね」
渡辺を執拗に誘惑してきたキッドにはどんな思いがあるのだろう。
「お客さん的には『手のひら返ししやがって』と思っているんだろうけど、仲間になったらなったで受け入れるだけ。誘ってくれたのはキッドだし感謝している。とにかく自分の殻を破りたい。反則なんて5カウント以内だったら何でもしていいし、今はこの立場を楽しんでるよ」
悪役のマスクマンはしばしば、日常生活ではいい人なのに、覆面をかぶると人格まで変わってしまったように悪の世界に染まる、と言われる。渡辺の場合はどうなのだろうか。
「私は、リングに上がらなくても別にいい子じゃないから(笑)。試合用のカラコンとメイクはするけれどスイッチが入るとかはないし、しなくても同じ。趣味も日常も変わらない。白米好きも変わらない。食べるものは人間として変わらないでしょ。米はいっぱい食べてるね(笑)」
むしろ、今の渡辺桃の方が自然体で、前の方が自分を作っていたということなのだろう。
「街で声をかけられても、無視すればいいから楽だよね。もうニコニコして愛嬌をふりまく必要もないし。ただ、サイン会は別。そこにいるのは私が好きで来てくれるファンだから、わりと笑顔になっちゃう(笑)。QQから大江戸隊に移っても、ずっと私を応援してくれる人もいるから」