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大逆転負けから4年、平野歩夢が実行した“採点競技の勝ち方”…ショーン・ホワイトと「同じようなフィニッシュ後の表現はできない」
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byNaoya Sanuki/JMPA
posted2022/02/10 17:03
北京五輪、2月9日の予選を1位通過した平野歩夢
「できるだけ上の順位を取ることを意識して、できる限り攻めたという感じでしたかね。ちょっと着地をミスして、何とかつなげたかなと」
語り継がれるショーン・ホワイトとの「死闘」
できるだけ上の順位――。
思い出されるのはショーン・ホワイト(米国)との一騎打ちとなった4年前だ。平昌五輪の男子ハーフパイプ予選。3位通過だった平野は「予選に合わせた滑りを確実に、という狙いでやった」と話していた。
こうして迎えた翌日の決勝は3本の演技のベストスコアで結果が決まる。平野は2本目に「フロントサイドダブルコーク1440」と「キャブ(逆)ダブルコーク1440」の連続技を五輪史上初めて成功させて95.25点というハイスコアを叩き出し、この時点でトップに立った。
だが、3本目にどんでん返しが待っていた。さらにスコアを更新しようとした平野は途中で転倒。そして、最終滑走はすでに五輪2大会で金メダルを獲っていたホワイト。予選1位で決勝を迎えていたスーパーヒーローは、それまで平野だけが成功していた「ダブルコーク1440」の連続技を初めて決めた。フィニッシュ直後にはド派手な雄叫び。どうだと言わんばかりに両手を天に突き上げた。ホワイトは重圧がかかった中で最終演技者として滑ったインパクトが高い完成度をより引き立たせた格好になり、97.75点。土壇場で平野を逆転した。
平昌後に語ったショーンへの“対抗心”
ソチ五輪に続いて銀メダルとなった平野は、「過去一番の大会のレベルだった。今回できることは、精いっぱいやれたのかなと思う」と結果を受け止めつつ、「でも笑顔まではいかない」と悔しさをにじませた。