新体操教室でレオタードを出され、「やっぱり、やめる」

ーーでは、小学校では浮く存在ではなかった。

成宮　そんなには浮いてなかったんじゃないかな。仲良くしてくれた男子もいたので。ほんとに“ボーイッシュ”を通り越して男の子だったから、男子のなかにいても女子から嫌われないんですよ。これがスカートはいて、髪も長くて、いかにも女の子だったら「モテようとして！」みたいに言われるけど、半ズボンでめっちゃショートですから。そんな風に取られることもなくて。小学校の6年間は、普通に楽しかったですね。

　ただ、浮いてはいなかったけど、自分では変わってる人間、おかしい人間なんじゃないのかとは思っていましたね。女の子のことが気になったり、好きになったりするたびに、「えっ、自分って変なのかな」って。

ーースイミングにも夢中だったとのことですが、小学校からスクールに通い出したのですか？

成宮　幼稚園に通う前からですね。カワサキスイミングクラブという地元では有名なスイミングスクールで、そこで母がインストラクターをやっていたんですよ。母にやりなさいと入れられたのか、僕が「やりたい」と言い出したのかは覚えてないんですけど、兄、姉、僕の3人で通ってましたね。まぁ、2歳か3歳で「やりたい」なんて言わないだろうから、強制的だったんでしょうね（笑）。

　小学校はスイミングに打ち込みつつ、学校では休み時間にドッジボールとかサッカー。でも、幼稚園に行くか行かない頃に新体操教室の体験に行ったんですよ。体験を1日やったら入りたいと乗り気だったそうなんですけど、レオタードみたいなのを出された瞬間に「やっぱり、やめる」と言ったそうです。ぜんぜん覚えてないですけど、すでに男としての自我みたいなものがあったんでしょうね。

　ただ、不思議とスイミングで水着を着るのは嫌じゃなかったんですよね。スパッツっぽいのもあったので、そこで納得できてたのかもしれない。

学生時代の成宮涼さん　©本人提供

父親のパソコンで“レズビアン”と検索した小学生時代

ーー成宮さんが小学生だった頃に放送された『3年B組金八先生 第6シリーズ』（TBS、01～02年）が、性同一性障害を題材にしています。こちらはご覧になっていたりしますか。

成宮　観てます。再放送だったのか、リアルタイムかわからないけど。性同一性障害の生徒役を演じる上戸彩さんが、泣きながらさらしを巻いて胸を平らにしているシーンがものすごく衝撃的で。「えっ、女の子だけど男の子の気持ちがある？」と驚きながらも、「こういう人がいるんだ……」って。だけど、「僕と一緒だ！」とはならなかったですね。やっぱり知識もなかったので、違和感を具体的に把握できてなくて。

ーー違和感の原因を突き止めようと、小学校5年の時に買ってもらったパソコンで検索していたそうですね。

成宮　それ以前から、父親のデスクトップでいろいろ調べてたんですよ。小5で自分のパソコンを手に入れて、チャットすることも加わった感じで。検索に関しては、最初の頃は“レズビアン”で検索をかけまくっていたんですよ。女子に属しているのに、女の子が気になるからそうなのかなって。けど、調べてみるとバイセクシャルもあって「そっちかな」みたいな。バイセクシャルか、もしくはレズビアンというイメージで自分を捉えたけど、男の子を好きになったことはないし。でも、これから好きになるかもしれないから、やっぱりバイセクシャルなのかなって。

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