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[スノーボード 最強の3人娘に聞く]鬼塚雅「あの技を打つこと自体が私にとっては挑戦なんです」
posted2022/02/04 07:02
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph by
Lee Ponzio
ビッグエアとスロープスタイルの両種目でメダル獲得が期待される3人。大舞台へ向け、三者三様の思いを語った。
どんな滑りをしたのか、どんなコースだったのか。鬼塚雅には前回の五輪の記憶がほとんどない。
「もう自分が何もできなかった。できなさ過ぎたんです」
スロープスタイルでは想像以上の強風に阻まれて19位。ビッグエアは大技の完成が間に合わず8位。不本意な結果に終わった悔しさが記憶の蓋を閉じさせたのか。
「いえ、悔しい大会ならもっと他にあります。でも、五輪は何もできなさ過ぎて、悔しさもMAXにならなかったんです。だから記憶に残らない。確かに競技以外では色々な経験をさせてもらいました。でも何かを得たかと言われたら何もないんです」
それでも苦い経験は契機にはなった。冷静に自分を見つめ直せば、何が必要だったかは理解できた。
「ビッグエアに関しては新しい技に挑戦するのが遅かった。スロープスタイルは風のある状況なんかは考えていなかった。準備不足でした」
そこからは思い切って板を切り替え、安定感よりも空中での操作性の良さを追求することにした。結果、板の幅は1cmほど細くなった。足のサイズが22.5cmと小さい鬼塚にとって、それだけでも取り回しがしやすくなる。
「実際には7mmぐらいかな。でも靴だったら1cmって結構変わりません? そんな感覚です」
どうして高い操作性が必要だったかの答えが、いま鬼塚が見せている、女子では鬼塚しか実戦で成功させていない大技『キャブダブルコーク1260(トゥエルブ)』にある。