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《センバツ出場》明秀日立の“副将兼任”女子マネージャーがスゴい! 坂本勇人の恩師が「キャプテンにしても良かった」と信頼する理由
text by
高木遊Yu Takagi
photograph byYu Takagi
posted2022/01/28 17:00
センバツ出場を決めた明秀日立高校の金沢監督(左)。ともに“戦う”田中マネージャーへの信頼を語った
今では寮生活もすっかり慣れたもので、他の部にも友達ができた。そして、昨秋から新チームで最上級生となると、副キャプテンという要職に抜てき。金沢監督は「勝ちにこだわる姿勢は選手よりもあるので、キャプテンにしても良かったくらいです」と話し、さらにこう続けた。
「ベンチワークが何より優れています。例えば“相手投手の投球がワンバウンドならスタート”という場面では誰よりも早く“GO!”と言ったり、フライが上がったら指を差したり、味方の捕手が弾いたら“前!”と球の位置を教えたり。そういった声がチームの中で一番早いかもしれません」
マネージャーといえば “支える”というイメージだが、田中の場合はともに“戦う”一員にもなれるのだという。田中は、その中で声を武器にして戦力になろうとしている。
「試合の一番大事な場面の一番大事な声は監督さんから咄嗟に出ます。でも、監督さんひとりが声を出していても、外野まで声が届くことは難しいです。だから、その声を隣にいる私が誰よりも先に繋ぐことを意識しています」
田中マネージャーが知る金沢監督の素顔
こうして俯瞰的に視野を広くチームを観ていることを金沢監督に買われ、「キャプテンを誰にすべきか?」といった相談を受けるまでになった。
また他の男子部員と違い、女子寮に送ってもらう際に金沢監督の車に同乗するため、名将の“素顔”もよく知る。
「流行りに敏感で、最新の音楽やアニメのことも把握している。こないだ、車の中でミュージックステーションを観ていたので“監督さんこの曲、知っていますか?”と聞くと、“踊れるよ”と言っていました(笑)」