濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
「男vs女のデスマッチ」は“凄惨”でも清々しい激闘に…葛西純は対戦した山下りなへ「血まみれでガラスまみれで、お前は最高にいい女」
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2022/01/22 17:00
1月3日の新木場1stRING大会にて対戦した葛西純と山下りな
葛西から山下へ「最高の女じゃなくて最高の人間だ」
そして持参した袋からハイボール缶を取り出し「ご褒美」として山下に渡す。「俺っちは車だから」とノンアル飲料。まさに「晩酌するまでがデスマッチ」だ。「生きてるって気がするだろ」と葛西。「今までで一番おいしいハイボールです」と山下。“デス”マッチの後だからこそ、一本のハイボールに“生”の感触を得る。すなわち、生きて帰るまでがデスマッチ。
「女の割には凄いと言いたいところだけど、FREEDOMSのリングに上がってたら男も女も関係ない。いちレスラー、デスマッチファイターとしてアイツは天晴れだ。最高の女じゃなくて最高の人間だ。俺の一番の女になるって言ってたけど、それは言わずもがなだろ。そんなこと言わせんな、既婚者に」
試合後のコメントも“ザ・葛西純”なのだった。山下の言葉も葛西に負けていなかった。
「負けたけど楽しかったと言ってるようじゃ、FREEDOMSでは生き残れない。女子が挑戦して凄いねで終わって、私が最初で最後の挑戦者では意味がない。私が目指すのはハードコア、デスマッチで山下りな以外は“その他”にすること。私が唯一無二の存在になってやる」
ただ葛西純の後を追っても、追い抜けるわけがないと山下は言う。遠回りしてでも、後を追うのではなく目の前に立つ存在にならなければと。そのためにも“唯一無二”を目指すのだ。“山下りなのデスマッチ”を確立してこそ、葛西純の前に立つことができる。
「葛西純に認められたら箔がつくとか思ってるヤツは私がリングで叩きのめしてやりますよ。そんな軽いもんじゃない、葛西純は」
この山下りなをして、今の葛西は「以前、初めてシングルマッチをした時より間違いなくレベルアップしていた」という。年齢を「レベル」とするなら、今年の葛西純はさらに強い。
ベルトを巻き、女子とのタイトルマッチで名勝負を残す。齢47、別名レベル47の葛西純は、今なおデスマッチの可能性を開拓し続けているのだ。
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