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『グランマ・ゲイトウッドのロングトレイル』3300km踏破したおばあちゃんのたくましく、無謀で無敵な半生。 

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中島英摩

中島英摩Emma Nakajima

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posted2022/01/18 07:00

『グランマ・ゲイトウッドのロングトレイル』3300km踏破したおばあちゃんのたくましく、無謀で無敵な半生。<Number Web> photograph by Sports Graphic Number

『グランマ・ゲイトウッドのロングトレイル』ベン・モンゴメリ著 浜本マヤ訳 山と渓谷社 2640円

 エベレストに挑戦した登山家の「そこに山があるから」という名言はあまりにも有名だが、山好きにとって、なぜ山に登るのかという問いは愚問である。67歳のエマ・ゲイトウッドは「ただ、楽しそうだと思ったから」と答えたという。

 3300kmにも渡るアメリカのアパラチアン・トレイル初の女性スルーハイカーであり、ハイカー達の生ける伝説、エマおばあちゃん。物語は、彼女を取り巻く過去の不運な家庭環境の回顧録や、1887年~1973年当時の時代背景と共に旅路を進めていく。若い頃から苦労を重ね、夫からの暴力に耐える日々。目を覆いたくなるような残酷な状況下でも、彼女の芯の強さが垣間見える。どんな境遇にあろうとも「自分を持っている」、それが彼女の強さだ。

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