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世界的ピアニスト反田恭平27歳、“同学年”羽生結弦の美しさを語る「同じ年なのでちょっと悔しいな」「羽生選手はショパンを理解している」

posted2022/01/12 06:00

 
世界的ピアニスト反田恭平27歳、“同学年”羽生結弦の美しさを語る「同じ年なのでちょっと悔しいな」「羽生選手はショパンを理解している」<Number Web> photograph by Asami Enomoto

『バラード第1番』を演じる羽生。過去4シーズン、同プログラムで数々の名勝負・名演技を見せてきた

text by

石井宏美

石井宏美Hiromi Ishii

PROFILE

photograph by

Asami Enomoto

 昨年末の全日本選手権で圧巻の優勝を遂げた羽生結弦選手。発売中のNumber1043号フィギュアスケート特集では、羽生選手をはじめ北京五輪に臨む日本代表のスケーターたちの、今季の戦いを振り返っています。
 同号に収録した「アーティストが語る羽生結弦歴代プログラムの美」では、同じ1994年生まれの世界的ピアニスト・反田恭平さん(27歳)にインタビュー。羽生選手の代表的なプログラムの一つである『バラード第1番』を見ての感想を語ってもらいました。誌面に掲載できなかった内容を本記事では紹介します。

 昨年10月、第18回ショパン国際ピアノコンクールで反田恭平がこれまでの日本人最高位タイとなる2位の快挙を達成した。何よりも「“ショパンが好きなんだよ”ということを伝えたかった」と臨んだコンクールでは大きなプレッシャーを感じながらも、全身全霊を傾けた演奏で魅了した。

「15年前から憧れていたステージでしたから、最高ですよね。パリコレにでたいと思っていた人が、パリコレのランウェイを歩いているようなもので」

 ファイナルではオーケストラとぴったりと息のあった演奏を披露し、最後は観客のスタンディングオベーションを受け、喝采を浴びた。

 そんなクラシック界の若き天才が、今回、発売中のNumberフィギュアスケート特集で羽生結弦の代名詞と言われるプログラムの一つ、ショパンの『バラード第1番』について語っている。

「同じ年なのでちょっと悔しいな~」

 その取材の数日前、反田は第9回ショパンコンクールで史上最年少優勝を果たしたクリスチャン・ツィメルマンに会ったという。その彼こそ、羽生の『バラード第1番』を演奏した人物である。偶然とはいえ、何か不思議な縁を感じた。

「すごく柔らかい印象があるなかでも核となるシーンがしっかりとありますよね」

 8年前、当時留学していたロシアで見た同学年・羽生結弦のソチ五輪の演技を今回映像であらためて確認して、反田はそう懐かしそうに振り返った。

「ロシア人にとっては国技のようなもの」というフィギュアスケートの話題は、当時在籍していたチャイコフスキー記念国立モスクワ音楽院の授業でも度々上がっていた。なかでも羽生はロシアでも知られた存在だった。

「誇らしい反面、やっぱり同じ年なのでちょっと悔しいな~という気持ちもありましたね。それに、ジャンプの度に観客に拍手をいただけるのもちょっとずるいなって(笑)。でも、世界で戦うその姿はやっぱり見ていてカッコいいなと思います、本当に尊敬でしかないです」

 過去複数シーズン演じているこの『バラード第1番』は、元々有名な曲だ。しかし、羽生が演じたことでより多くの人に知られるようになったことを反田はしみじみ実感している。

【次ページ】 「(羽生選手は)ショパンをしっかりと理解している」

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