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「オカダとオスプレイ、まとめて潰さなきゃ気がすまねえ」混迷の東京ドーム2連戦、鷹木信悟は“本物のベルト”を守り抜けるのか
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2022/01/03 11:04
現IWGP世界ヘビー級王者の鷹木信悟と、昨年の『G1 CLIMAX』を制したオカダ・カズチカ。因縁深まる両雄が「1.4」の東京ドームで激突する
「コロナ禍っていうだけあってね、まさかのオレ自身が8月に感染してしまって。隔離期間もあったし、練習ができない状況で、10日ぐらいで体重も4、5キロ落ちて、『これヤバいな、運も尽きたな』とか思った。ギリギリ間に合って、メットライフドームのメインに上がることができたけど、危ない場面で仲間たちがヘルプしてくれた。オレの中であの1試合っていうのは、自分自身が『大丈夫かな?』と思っていて、たぶんお客さんも『鷹木、大丈夫なのかよ』って思う中で戦って勝つことができた。コロナに勝ったと言ったらちょっと大袈裟かもしれないけれど、やっぱり一番に印象に残ってる試合かな」
鷹木は東京スポーツが制定する「プロレス大賞」のMVPも獲得した。「鷹木しかいない」というのが大方の見解だったから、当然の受賞だった。プロレス大賞の技能賞をもらったのはドラゴンゲート時代の2008年。MVPまでは長い道のりだった。
「負け惜しみで『オレは記録に残らなくてもいい、記憶に残るレスラーでいたいんだ』って思っていたけど、この業界でやるかぎりは記録にも記憶にも残りたい。オレはもう39歳だけど、ギリギリ間に合ったって感じかな。よく言っていたじゃない。棚橋、オカダ、内藤、飯伏とかのいるトップの中のトップに足を入れるか、追い出されるかはオレ次第だって。ここでMVPをいただいたことで、また追い出されるかもしれないけど、そこに入り込んだかなって感じはあるよね」
「オカダに50周年を背負う資格はねえよ」
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筆者が2021年の年間最高試合を選ぶなら、5月4日のオスプレイvs鷹木を選ぶ。試合の開催地が福岡だったことがこの試合が選出されなかった要因だろう。プロレス界は、どうしても東京での試合に注目が集まってしまいがちだからだ。鷹木にはMVPと合わせて、年間最高試合も取ってほしかった。1.4でオカダを倒して、1.5でオスプレイと戦う鷹木を見てみたいと思う。会場は東京ドームだから、今度こそ文句ないだろう。
「オレはプロレスが好きだし、プロレスに対してすごいリスペクトがある。レスラーとしてなめられたくないんだよね。だからこそ、天龍源一郎さんなんかにも教わったけど、やっぱり“痛みの伝わるプロレス”だよ」
12月21日から24日にかけて、後楽園ホールで鷹木とオカダのタッグマッチによる最後の前哨戦が3回行われたが、直接の勝敗はなかった。互いに相手を研究していることを感じさせる内容だった。