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格闘技PRESSBACK NUMBER
大山倍達の「一撃」継承なるか “ブラックパンサー”ベイノアが念願の大晦日RIZIN参戦、狙うは「極真空手の異種格闘技戦」
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph byRIZIN FF
posted2021/12/28 17:04
格闘家兼お笑い芸人という異色のキャラクターで注目される“ブラックパンサー”ベイノア。そんな彼にもゴッドハンド大山倍達の「極真イズム」はしっかりと受け継がれている
大山倍達の「一撃」伝説が大晦日に蘇るか
MMAのキャリアはグリーンボーイながら、格闘家としての経歴は長い。ベイノアにとって、それは大きなアドバンテージになる。今回対戦する武田はレスリング出身のグラップラー。投げ技を得意とするという部分で、ベイノアにとっては未知なる対戦相手だ。
MMAの練習やレスリング対策をするために、ベイノアは連日パラエストラ柏で同ジムの鶴屋浩代表の教えを乞う。
「組ませないで打撃で勝負。でも試合時間がトータルで15分あったら、組み合う展開も想定しないといけない。だから組みや寝技に持っていかれても、そこから返す練習もしています」
沖縄でベイノアがダリを逆転KOで葬った大会のメインではRENAが山本美憂のタックルに合わせ、ヒザ蹴りをジャストミート。鮮やかなTKO勝ちでトリを締めた。
RENAがシュートボクシング出身の典型的なストライカーならば、山本は史上最年少でレスリング世界選手権を制した典型的なグラップラー。その対立図式とフィニッシュは、かつてミルコ・クロコップが藤田和之に追い込まれながらヒザ蹴り一発で逆転TKO勝ちを飾った、ちょうど20年前の伝説の一戦を鮮やかに蘇らせた。
ベイノアも、RENAのヒザ蹴りからインスパイアされたものがあることを認める。
「ストライカーがヒザで勝っている試合を目の当たりにして、いいイメージを湧かせているというのはある」
MMAは競技として確立されつつあるが、1~2戦目と同様にベイノアは他流派同士がそれぞれの武器をぶつけ合う異種格闘技戦を狙う。
「総合格闘家vs総合格闘家というのも純粋にあるけど、僕は昔のレスラーvsキックボクサー、レスラーvs空手家といった格闘技戦も好きだった。そういった意味で今回の試合は空手vsレスリングの異種格闘技戦になると思う。どっちが自分の領域に相手をハメるのか。やる側としたら怖さもあるけど、純粋に楽しみの方が大きい」
かつて大山氏は極真空手を創設する前、アメリカに渡り、プロレスラーやボクサーを相手に異種格闘技戦を繰り広げたという伝説が残っている。時代が時代なだけに語り継がれる闘いの中にはファンタジーも含まれているといわれているが、昭和の格闘技ファンはその血湧き肉躍る闘いの数々に無限大の夢とロマンを感じたものだ。
もし令和の世に大山氏が生きていたら大一番を間近に控えた弟子にどんな言葉をかけるのか。少し考えてから、ベイノアはゴッドハンドの気持ちを代弁した。
「君、男なら闘え。それが男のロマンだろ」
沖縄に続き、さいたまでも「一撃」が蘇るのか。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。