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ぼくらのプロレス(再)入門BACK NUMBER
《方正ビンタでおなじみ》蝶野正洋が明かす『大晦日ガキ使』収録の知られざるウラ側「俺が一番『笑ってはいけない』なんだよ(笑)」
text by
堀江ガンツGantz Horie
photograph byKiichi Matsumoto
posted2021/12/31 11:11
毎年大晦日の恒例となっていた、「笑ってはいけない」での蝶野正洋のビンタ。放送を休止した今年、その裏側を語ってもらった。
――ここ十数年、大晦日はあのビンタが新たな除夜の鐘みたいになってましたからね(笑)。
蝶野 俺もそんなつもりはなかったんですけど、毎年恒例になってきちゃって。あの番組がスタートする前、大晦日といえば民放各局が格闘技をやってたじゃないですか。フジがPRIDE、TBSがK-1(『Dynamite!!』)、そして日テレは『猪木祭り』をやったんだけど、それがちょっとコケて。その代わりにバラエティをやるような感じだったんで、「大丈夫なのかな?」っていう雰囲気だったんですよ。俺は10年以上続いて、今みたいな状況になるなんてまったく想像してなかったんで。
ビンタの裏側「台本なんてない、全部アドリブ」
――あのビンタはどういういきさつで始まったんですか?
蝶野 最初は「年末の番組に出てくれ」という話が来たんですよ。年末年始はそういうバラエティのオファーがちょこちょことあったから、あんまりチェックしないでマネージャーに「いいよ」って返事をして。全くシチュエーションがわからないまま、朝早い収録に臨んだら、ディレクターが「(月亭)方正くんを叩いてくれ」と。
――先方からの要望は「叩いてくれ」だけ(笑)。
蝶野 全部アドリブで、細かい台本なんか何もないんだよね。それで俺は「変な仕事だな、(アントニオ)猪木さんと被って嫌だな」と思って。やっぱりビンタは猪木さんのイメージがあるから、それをパクるのも失礼なんで、やりたくなかったんだよ。
ーー蝶野さんは、プロレスでビンタのイメージは全然ないですもんね。
蝶野 俺は基本的にビンタとかチョップは一切やらないからね。それがいまは逆にビンタのオジサンになっちゃったから(笑)。「笑ってはいけない」の1年目は学校がテーマで、俺は冒頭の朝礼のコーナーで出てきてビンタやって。それ一回で終わるもんだと思ってたら翌年も入って、年を追うごとに時間帯がどんどんトリの方になってね。
――プロレスで言えば、年々メインイベント扱いになってきて(笑)。
蝶野 だんだんプレッシャーかかってきてね(笑)。あのコーナーは、俺が叩く前に方正くんが怯えるところが面白いんだよね。だから俺がいかに怖がらせるか、そのへんの役割がわかってないといけないんだけど。最初の2~3回はよくわかってなかったからさ、方正くんを脅しながら俺もちょっと笑っちゃってるんだよね。