一方の沼田理事も、「ナイスネイチャが引退馬協会の広報部長になってくれました」とその功績を称えた。2017年からスタートしたバースデードネーションの支援額は年々増加し、今年はナイスネイチャが“出演”した『ウマ娘 プリティーダービー』のブームも手伝って、3500万円を超える寄付が集まった。

にっこりと微笑むナイスネイチャのクリアファイル　©The Retired Horse Association

「ナイスネイチャのおかげで、引退馬協会の存在を広く認知してもらえました。やっぱりこういった活動は、なによりもまず知っていただくことが一番大切です。行き場がなくなった馬について『なんとかしてあげられませんか』と牧場の方から相談されることも増えていきました。また『ウマ娘』がきっかけで初めて寄付をしたという方や、引退馬のその後を知ったという声もたくさんいただいています」

　タイキフォーチュン、タイキシャトル、メイショウドトウ、メイショウサムソン、ディープスカイといったGⅠ馬も、引退馬協会のフォスターホースとなっている。沼田理事は「種牡馬や繁殖牝馬を引退しても、もちろん有名じゃなくても、ごく単純に“見て癒やされる”というのもサラブレッドの活躍の場のひとつです。これからも馬のいる風景を増やしていければ」と展望を語った。

国内外の短距離GIを5勝し、JRA顕彰馬にも選出されたタイキシャトル。種牡馬としてもウインクリューガーやメイショウボーラーといったGI馬を輩出した　©Daisuke Asauchi

人間換算で100歳前後、ナイスネイチャの長寿の秘訣

　かつては勝ち気な性格だったナイスネイチャだが、馬齢を重ねるにつれて、馬を恋しがるような仕草を見せるようになったという。存命のJRA重賞を制した牡馬としては、日本最高齢の33歳。渡辺さんによると体調は良好だそうだが、人間の年齢に換算すると100歳前後なだけに、基本的な体力そのものは次第に衰えていく。

「歯を悪くしてからは、普通の乾燥した飼葉は食べられない。ガンコな性格で治療は難しいので、粉にした飼葉をぬるま湯でといて、スムージー状にして食べさせています。他にも白内障の症状だったり、左の股関節を痛めやすかったり、年齢相応の衰えはありますね」

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