その上で羽生について考えると、「ワールドスタンディングの上位3名」という基準を満たしている（2位）。つまり、すでに選考対象の中に含まれている。

それでも羽生が「オリンピック出場有力」である理由

　その上で男子の状況を俯瞰すると、代表争いに絡んでくるであろう有力選手は女子に比べれば多いとは言い難い。

　上記の項目のいずれかにあてはまる選手は、ワールドスタンディング上位3名の一角を占める羽生を除き、宇野昌磨、鍵山優真、佐藤駿だ。また、オリンピックや世界選手権の表彰台を現実的に目指せる選手という点から考えても、ごくごく限られているのが現状だ。

　怪我でここまで大会に出場していないと言っても、日本男子の状況、羽生のこれまでの成績や滑りの内容を考えてみても、オリンピックに近い存在であることに変わりない。

　羽生本人は今まで、4回転アクセル成功が最大の目標であることを示し、オリンピックはその先にあれば、という趣旨の発言を繰り返してきた。その点も踏まえつつ、全日本選手権では身体に過度に無理のない、今後につながる演技を期待したいところだ。

国別対抗戦フリーの羽生の演技。エキシビション用の練習では、クワッドアクセルに挑む姿も

　他の男子に目を向けると、宇野と鍵山は今シーズン、充実の一途を見せている。宇野はフリーで4回転ジャンプ5本に挑んでおり、より高みを目指す姿勢は全日本選手権でも変わらないだろう。そのチャレンジする姿に、今大会でも注目が集まるに違いない。鍵山もまた、成長を志しシーズンを進んできた。その姿を久しぶりに国内で見せるときだ。そして佐藤は、持ち味の4回転ジャンプを中心に勝負をかける。さらにグランプリシリーズのロシア大会で大幅に自己ベストを更新した友野一希も楽しみな1人だと言えるだろう。

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