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大谷翔平に「滑りにくい公式球」はプラスか、マイナスか? MLBで導入されれば“投手有利=打者不利”に《直球は簡単に170キロも!?》
posted2021/12/14 06:00
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph by
Getty Images
MLBはロックアウト真っ只中。労使交渉の争点は多岐に渡るが、その中にはユニバーサルDH(両リーグDH)への移行などお金とは直接的に関係ない部分も多々ある。
そこで思うのだが、仮に話し合いが順調に進み、労使交渉が円滑に解決を見せていれば、メジャーの投手のほとんどが異を唱える「滑りやすい公式球」の品質改善、使用へと話は進んだのではないか。事実、今年の9月には3Aで「滑りにくく改善された試作球」で公式戦が行われていた。近い将来に向け、動きが加速していた背景はあった。
投手有利→打者有利→投手有利…続いてきたいたちごっこ
滑りやすいボールの使用については、投手、打者、機構の間では、何十年もいたちごっこが続いていた。ざっとおさらいをすれば流れは以下の通りだ。
ボールが滑る故に投手が滑り止めをつける。結果、投手がボールを操るようになると打者は対応に苦慮する。そこで得点が入りづらいと機構が判断すればストライクゾーンを狭め、飛ぶボールを採用し、球場自体を小さくすることも容認する。
得点の奪い合いこそ、野球の最大の魅力とばかりにこんな環境が演出されてきたわけだが、一番の問題はボールが滑りやすいことで起こる投手のケガだった。ケガをすることで労使双方に生まれる利益は何もない。最善の環境づくりこそ、最も大事な話し合いだったはずだ。