武蔵丸の辛口御免 Oh!相撲BACK NUMBER
“ご意見番”武蔵丸が本音で語る、照ノ富士1強「正代なんて、もう大関と呼ばなくてもいい」「大関はじめ三役陣がだらしないよ」
text by
武蔵川光偉Musashigawa Mitsuhide
photograph byKYODO
posted2021/11/30 17:02
14日目、大関貴景勝(左)が突き出しで大関正代を破る。今場所、貴景勝は12勝3敗、正代は9勝6敗だった
「正代なんて、もう大関と呼ばなくてもいい」
幕内に復帰した阿炎が、今場所は盛り上げてくれたね。彼がいなかったら優勝争いはどうなっていたんだろ? と思うくらいの活躍だった。体もひと回り大きくなって、跳んだりはねたりの相撲がなくなっていたよね。でも、14日目まではよかったんだけれど、千秋楽の隆の勝戦の一番では、やっぱり昔の阿炎が出て、引いてしまって負けちゃった。今場所はよかったけれど、これからが、来場所以降が勝負だよ。上位陣をかき回す存在でいてほしいな。
やっぱりね、僕に言わせれば大関はじめ三役陣がだらしないんだ。正代なんて、もう大関と呼ばなくてもいい。「オスモウチャン」でいいよ。九州場所って、熊本出身の正代は「ご当所力士」でしょ? 大関として初めてのご当所で、一層頑張らなきゃいけないのにね。9勝して勝ち越したってホッとしてる立場じゃない。
先場所から小結に返り咲いた逸ノ城は5勝10敗、同じく小結の霧馬山は6勝9敗。関脇の明生も負け越したなか、三役常連の関脇御嶽海は11勝。でも御嶽海は”なまくら”なんだよ。力はあるんだから、もっと頑張ってくれなきゃ。たとえば照ノ富士戦などでは、ちょっとまわしを掴まれただけですぐに諦めて、力が抜けちゃうんだもの。そこから頑張れよ! ってところ。御嶽海がもっと頑張ってくれたら、もっと面白くなるんだよなぁ。僕はまだ御嶽海を諦めていないぞ?
「番付は十両に据え置き。ただし給料はナシ!」がいい
協会のガイドライン違反で出場停止となり、今場所で復帰した竜電が、幕下で優勝したね。これまでの阿炎もそうだったけれど、元三役として本来の力があるんだから、格下の地位で優勝するのは当然なんだ。来年の7月場所では元大関の朝乃山が復帰するけど、若いお相撲さんたちの夢がなくなるよ。「この一番で勝てば十両に昇進できる!」「この一番に優勝が掛かる!」と頑張っている若い子の芽を摘んでしまうことにもなるよね。長い期間の出場停止という処分は、意味がないと思うんだよなぁ。僕の持論としては「番付は十両に据え置き。ただし給料はナシ!」がいいと思うんだけどね。
とにかく、今年一年は相撲界だけでなく、みなさんもいろいろ大変だったと思います。
大相撲を見ることで少しでも気を休め、楽しみとしてもらえるようにと、お相撲さんたちも日々頑張っています――師匠の僕もね。
一年納めの九州場所が終わりました。また来年も、大相撲の応援をよろしくお願い致します!
(構成=佐藤祥子)