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“ご意見番”武蔵丸が本音で語る、照ノ富士1強「正代なんて、もう大関と呼ばなくてもいい」「大関はじめ三役陣がだらしないよ」
posted2021/11/30 17:02
text by
武蔵川光偉Musashigawa Mitsuhide
photograph by
KYODO
2年ぶりの開催となった九州場所。
わが相撲協会はコロナウイルス感染防止のためのガイドラインが厳しいけれど、今年は7月の名古屋と11月の九州と、2度の地方場所開催に踏み切ったんだ。でも、せっかく東京を離れても、現地ではより厳しく「外出禁止」だったりしてね。「東京から移動するだけで意味がない」と思う人もいるかもしれないけれど、違う土地の空気を吸えるって、それだけで気分転換になるんだ。
この九州場所では「ルールを守りつつ13日目から外出してもよい」とのことだったので、この時期に美味しい、福岡名物の「アラ」を食べに行ったんだ。いやぁ、「師匠として模範にならなければ」と一歩も相撲部屋から出なかったので、今までのストレス解消になったな。アラって、刺身も唐揚げもいいけど、鍋にするとフグよりも脂が乗っていてコクがあり、本当に美味しい魚なんだ。
千秋楽の日、ここ約2年はずっと部屋の中で自分たちの手で「打ち上げパーティ(もどき)」をしていたんだけれど、今場所は僕の兄弟子の経営するちゃんこ鍋屋さんを貸し切りにしてもらった。「飲食店は大変だったろうに、閉店せずによく頑張ってくれていたなぁ」と思ったし、部屋のみんなが揃っての外食は本当にひさしぶりのこと。若い力士たちも喜んでいたな。
それでは、今場所の感想はこれで終わります!
「照ノ富士1強」攻略法は?
……ではなくて。
まずは横綱照ノ富士ね。初めての全勝優勝ということで、引退した白鵬の穴を埋めるように、一人横綱としての存在を示していた。これからも白鵬に代わって横綱として相撲界を引っ張り、いい見本を見せてほしいね。
みんな、今の照ノ富士には勝てないだろうなぁ。しばらく「照ノ富士1強」の流れは変わらないように思うんだ。誰がこの横綱を倒すのかと考えると、ピンと来ないんだよね。先の9月場所では大栄翔と明生が横綱に土をつけたけれど、彼らはよく動いていた。攻略法としては、まずは大きい横綱のバランスを崩すことが大事なの。照ノ富士は、相手をよく見て、常に自分の真正面に置くんだ。だから、速い動きで反応が追い付かなくなるくらいに動き回ること。まずは立ち合いであごを上げさせて、下から攻めて横を向かせたり、後ろを向かせるくらいに動き回ると勝機はある。右差しが得意なヒトは思い切り右に動け。左差しが得意なら、左に思いっ切り動く。そうすれば照ノ富士は、力の半分しか使えなくなるよ。わからなかったら僕に聞きにおいでね。照ノ富士同様にデカい僕が攻められて苦手だった相手の戦術――いくらでも教えてあげるよ(笑)。