当初は手術後5週目からキャッチボールを行う予定だったが、2週目にはすでに痛みがなくなっていた。慎重に医師やトレーナーと相談し、3週目まで様子を見てからキャッチボールを開始した。

「キャッチボールをした時に、手術前までずっと感じていた痛みがなくなっていたから、『楽しみだな』と思えたんです」

　5週目あたりからブルペン投球を開始し、手術から約2カ月後の11月16日、紅白戦で実戦復帰した。3回から2イニングを投げ、山足達也の本塁打、頓宮裕真と伏見寅威の連打で2失点したが、ストレートの最速は145キロ、変化球もひととおり試し、登板後の表情は明るかった。

「本当にここまで投げられるようにさせてもらった人たちにまず感謝したいですし、自分自身（今年は）投げられないと思っていたので、こういう機会を与えてもらえたことにも感謝したいなと思っています。（ストレートは）いい時に比べたらもちろんよくはないですけど、手術して2カ月ぐらいでそこまで（球速が）出ているというのはいいペースというか、むしろ早いぐらいじゃないかなとは思っています」

　日本シリーズに間に合った。だが山岡は、「絶対に無理はしていない」と何度も強調した。

　日本シリーズから逆算して間に合わせたのではなく、来季を見据えて、あくまでも回復状況に合わせて慎重にリハビリを進めるうちに、想定より早く復帰が進み、結果的に、「日本シリーズなら間に合うんじゃないか」と大舞台が見えてきたのだという。

「無理してるんじゃないかって、周りの人も、ファンの人も思うかもしれないけど、自分の中で『絶対無理しない』ということだけは、一番に置いてやってきました。それだけはもう絶対に繰り返したくないから」

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