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41歳遠藤保仁「彼がいたからこそやれた」 監督&チームメイトが証言する“ジュビロを変えた遠藤効果”とは?〈有言実行のJ1昇格〉
text by
望月文夫Fumio Mochizuki
photograph byGetty Images
posted2021/11/20 11:03
昨年10月に期限付きでジュビロ磐田に加入した遠藤保仁。有言実行となる“J1昇格”を果たした
その強い思いに反して、シーズン開幕は厳しい船出だった。「チームが勝つために100%の力を出したい」と臨んだものの、まさかの開幕2連敗。長いシーズンとはいえ、2節を終えて22チーム中20位の出遅れは間違いなく想定外だった。
想定外はまだ続いた。開幕から5戦連続で先発出場していたが、その5戦目の山口戦で足をねん挫。鈴木政一監督のサッカーには欠かせない存在の遠藤だが、「ここで無理をするよりも、しっかり治した方がいい」と次戦ではベンチから外れた。遠藤不在で周囲は戦力ダウンを心配したが、大黒柱が不在の中でも5勝1分1敗とチームは踏ん張った。
5月の群馬戦では“24年連続”となるゴール
その後、復帰した遠藤が真価を発揮したのは、5月の第14節群馬戦だ。味方の折り返しを右足で軽やかに合わせて1-0での勝利に導いた。横浜フリューゲルス加入1年目の1998年から24年連続となるゴール。自身が持つJリーグの連続シーズン得点記録を更新するとともに、三浦知良、中村俊輔に次ぐJ2歴代3番目の年長得点記録となった。「連続ゴールをうれしく思うし、ここまでもこれからも支えてくれる人たちのためにも、もっと伸ばしていければ」と衰えない情熱を示した。
ここから7戦連続完封勝利と勢いに乗ったチームだったが、7月の第22節から3戦連続で勝ち星から遠ざかる。続く第25節の東京V戦も先制を許す苦しい展開となった。その沈滞ムードを払しょくしたのも遠藤だった。
0-1で迎えた前半22分にゴール正面で獲得したFKを右足で直接ゴールマウスに押し込んだ。「練習でも同じようなFKを決めていたから、やってくれると思った」という指揮官の期待に応えると、後半7分には左CKからMF山田大記のヘディングゴールを演出した。先制を許したものの、遠藤の1得点1アシストで見事に逆転勝利を呼び込んだ。決勝点を決めた山田は「自分はヘディングは苦手だったけど、いいボールが来たので決められた。得意になったのかも」とアシストの精度を絶賛した。
「彼がいなければ…」鈴木監督が語る“遠藤保仁効果”
チームは開幕直後の出遅れがうそのように5月から昇格決定までわずかに1敗と、絶対的な強さを見せて昇格へと突っ走った。最大の功労者としてチームをけん引した遠藤を鈴木監督はこう評価した。
「おそらく彼がいなければ、いまやっているサッカーはできなかった。ボールをつないで相手を動かし、高いポゼッションの中で、チャンスメイクをして仕掛けていく。彼がいたからこそやれたと思っている」
遠藤効果で成長を続けてきたチームメイトのプレーについても、指揮官はこう続けた。