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〈独占〉村元哉中&高橋大輔が順調な国際大会デビュー…コーチ2人がここだけに明かす“強さの秘密”とは?「まだ、ほんの始まりです」
posted2021/11/18 11:03
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph by
Asami Enomoto
代々木第一体育館で開催されたNHK杯で6位だった村元哉中&高橋大輔。リズムダンスもフリーダンスも大きなミスなく滑り切って、演技後はファンのスタンディングオベーションに包まれた。結成初年だった昨年度よりも、22ポイント以上点数も更新し、日本のアイスダンスチームとして、歴代最高点を獲得した。
昨シーズンは国内大会様式で開催されたため、国際ジャッジの評価を受けたのは、今回が初めて。順調なシーズンスタートを切ったと言える。
ワルシャワ杯のためにフロリダからポーランドに向かうというマリナ・ズエワコーチが、筆者の電話取材に応じて、こう語り始めた。
「NHK杯ではとても良い演技ができたと思います。まだまだ進歩の余地はあるけれど、昨年に比べたら別レベルに達した。私が昨年、彼らはすごく上手くなると言ったのを覚えていますか? 一目見た時から、彼らは素晴らしいチームになると確信があったんです」
ズエワコーチは過去3回のオリンピックのアイスダンスチャンピオン、メダリストたちを育ててきた。その彼女の目から見ても、村元と高橋は最初から光るものを持っていたのだという。
まるでスポーツドラマのような筋書き
「彼らが初の国際大会でこれほど落ち着いて演技をしたことに、驚いていますか?」
そう聞くと、ズエワコーチは、即座に「ノー」ときっぱり答えた。
「彼らは普通の新人ではありません。ダイスケは元世界チャンピオンにもなったオリンピックメダリスト。カナは四大陸の表彰台に上がった選手。チームとしては新しいとはいえ、これまで多くの経験を経てきたトップ選手ですから」
彼女の言う通り、高橋大輔はこのNHK杯だけでも過去に5回優勝している。実は最後に優勝した国際大会が、偶然にもこの同じ会場で2013年11月に開催されたNHK杯だった。
その8年後にアイスダンサーとして村元と同じ舞台に戻って来るとは、まるでスポーツドラマの映画を地でいっているかのようだ。
ノースリーブから筋肉が…高橋の体形が変わった理由
だが氷の上にいたのは、シングル時代の高橋とは別のスケーターだった。
「ダイスケの体形が変わった、と最初に指摘した記者はあなたでした。今では、みんながそう言っていますよ。上半身がたくましくなり、ウェストが細くなってアイスダンサーの体形になったでしょう」と電話の向こうで、ズエワコーチが笑った。