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Overseas ReportBACK NUMBER
高1で大谷翔平超え「通算本塁打47本の異常」 “花巻東の怪物”佐々木麟太郎を《3つのプロ指標》で評価してみた
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph byKYODO
posted2021/11/18 17:01
東北大会決勝で適時2塁打を放ち、花巻東の初優勝に貢献した1年生の佐々木麟太郎
長打率)「でも本数に関しては特に意識していません」
次にSLG(長打率)だが、県大会の準々決勝から東北大会の2回戦まで4試合連続本塁打がこの数値を大きく上げている。シングル、2塁打も当然ながら多い。
佐々木自身は本塁打の数にさほどこだわりがあるわけではないという。
岩手県大会の準々決勝で、公式戦では6試合ぶりの本塁打となる33号2ランを放った際、表情ひとつ変えずにダイヤモンドを回っていた。しかし3回目の攻撃で4番のキャプテン田代旭が3ランを打つと、四球で出塁し1塁にいた佐々木は、まるで自分が打ったかのようにガッツポーズをし、満面の笑みでホームに戻ってきた。そのギャップが目を引いた。
試合後の対応も同様で、キャプテンの本塁打については熱く語ってくれたが、自身の本塁打については冷静だった。
「チームに貢献できたことは良かったと思います。でも本数に関しては特に意識していません。バットを強く振った延長線上にあるものだと思っています」
秋に公式戦4試合連続本塁打を目にしたが、力強いスイングや打球そのものにも迫力があったが、球種の読み、振り切ったときの感覚、そしてそれらを的確に言語化する能力、1打席1打席から収穫と課題を見つけ、次の打席、試合で試みる能力の高い選手だと感じた。
夏の大会ではここ一番という場面で気持ちが入りすぎて力んでしまうこともあったが、しかし秋は気持ちをコントロールする力もついてきた。
岩手県大会の準決勝、盛岡大附属との試合、8回表、7対5と2点リードで迎えた場面で、佐々木は34号2ランを放ったが、「勝負になる点が欲しい場面だった。決めてやる。俺に任せろという気持ちで臨みました」と話している。
とはいえ、その辺りは16歳。ベンチから「麟太郎、リラックス、リラックス」と声が飛ぶように、気持ちをうまくスイングにのせられるかどうかも今後の成長の鍵になる。
また見る側は会心の当たりと思ったものに対しても、本人は「少し詰まった」と首を捻ることも多く、まだまだ手探りの部分も大きいようだ。
得点率)“甲子園予選の涙”が変えた意識
最後にOPS(得点能力)では、1.217と突出した数字を出している。
出塁率と長打率を足した数字なので当然だが、「花巻東の3番、そして主軸として、チームに貢献することだけを考えている」という本人の言葉を借りれば、本塁打数よりもOPSの高さを評価される方が満足度は高いのではないだろうか。